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テレビ世界のヤラセと非ヤラセ

 で最初のころ、ナニワの三兄弟は、その親父の鍛え方を見るのがはじめてなので、その現場感覚が面白かった。
 でもどうもハテナと思ったのは、その最初のころの試合からして、リングサイドにやたらと有名人の顔が多いこと。
 そりゃあ有名人にだって目利きがいて、こいつは、というので4回戦ボーイか何かの試合を自分から進んで見に行くことはあるだろうが、でも本当に「進んで」見に来てるのかなあと思った。
 しかもそれを流すのがいつも特定の一つのチャンネル。
 なるほどなあと思った。三兄弟そのものの頑張りにはリアルを感じて、感心して見ていたのだけど、そのうちヤラセ菌の方がぐんぐん蔓延してきて、いささかへきえきした。
 ボクサー自体はリアルにしても、そのリアル体の中にもヤラセ菌は侵食していくようで、やはり金の力というものだろうか、次男の方が勝った試合のリング上で歌を歌ったりするのには、あーねえ、と思った。結局はこうなるのか。
 ああいう、みんなに許された中でやる違法行為のようなことは、大嫌いだ。突然の型破りは面白いけど、あらかじめ用意された型破りはシラケる。
 試合前に悪態をつくのも、ずばりと勝てばまだしも、負け試合となればみっともなさが倍加する。
 話は違うが、西武から巨人に移籍したストッパーの豊田選手、祈りのパフォーマンスが特徴だったが、あまりにもそれらしいので、ぼくはちょっと心配していた。あれはうまく抑えてこそのもので、そうでなければ、何やってるんだ、ということになる。そうしたらやはり成果が落ちるにつれ、あのパフォーマンスも縮んで、消えていった。悲しいことである。

赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)1937年、横浜生まれ。『父が消えた』で芥川賞受賞。『ふしぎなお金』『目玉の学校』など、著者ならではの、まともに考えれば考えるほど不可思議な人間社会の謎を探究する目からウロコの名著多数。

赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

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