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テレビ世界のヤラセと非ヤラセ

 ぼくだって、テレビをばかにしながらもテレビを見ている。
 テレビが好きで見ている人も多いけど、ばかにしながら見ている人も、けっこう多い。
 日本国憲法を、まったくその通りだと思って生きている人は多いし、一方で日本国憲法をばかにしながらも、その下で生きている人はけっこう多い。それともちょっと似ている。
 ぼくがテレビを見るのは、まずニュースだ。いや全部ニュースかな。スポーツが好きでよくプロ野球など見るが、スポーツというのはリアルタイムで進行する事件の報道だから、ニュースである。
 一方ドラマや芸能番組というのは、事件ではないのに、それらしく作られたというものなので、何故だか見る気がしない。チャンネルを回しながらチラッと見えても、
 「あーねえ……」
 と思ってしまう。作られたものはどれも類型的で、一瞬に飽きるのだ。
 でもその違いはどこでわかるのだろうか。いまはリモコンのボタンを押してチャンネルが変えられるから、プロ野球を見ていてもチェンジのCMの間にパッパとほかの番組をパトロールする。そのとき、ほんの一瞬見ただけで、作ったドラマとそうでないものと、一瞬にわかる。一瞬に見えてしまうから不思議である。
 人の顔が写っていて、その表情だけでも、一瞬にヤラセか非ヤラセかわかる。
 ドラマをヤラセといってしまっては失礼かもしれないが、でも人間のおこないとしてはその二つに分けられる。
 もちろんドキュメントにもカメラの都合上どうしてもヤラセは混じり込んでいるが、でも曲りなりにもリアルだ。
 逆にドラマの中にも演じる人のトチリとか、その下手さかげんに、小さなリアルが混じり込んではいるが、でも基本は作りものだ。
 その違いが一瞬にパッとわかる。
 テレビは最大の愚民化政策だといわれて、ここまで日本国の愚民化が進んできているわけだが、その裏で、こういう一瞬にヤラセか非ヤラセかが見えるという、そういう目が鍛えられてきたんだと思う。
 昔の、戦後すぐのころの人々は、そういう目をもっていなかった。力道山のプロレスの試合を見て、昂奮のあまり卒倒する人が出た。

赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

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