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志村けん コメディアン

いい歳してやってるのがいい

コンビとしてデビュー

木村― 付き人の頃はかなり貧しかったようですね。

志村― 月給は5000円で、一割引くんですね、源泉というやつを。手取りは4500円だった(笑)。

木村― 吉本興業でも一日のギャラ500円から一割引いてますからね(笑)。その頃はご自宅から通ってたんですか。

志村― いや、いかりやさんの家のすぐそばにアパートが借りてあったので、家賃はいらなかったですね、食事代だけです。

木村― わらじを履いていたという話は本当なんですか。

志村― 本当です。一時期、運動靴がボロボロになっちゃったので、しばらくは裸足で歩いていたんですよね。初めは痛いんですけど、だんだん慣れてきて、多少のガラス踏んでも平気になっちゃうんですよね(笑)。
 裸足でかなり長いこと歩いてて、ある時、小道具さんに「わらじもらえませんか」って言って、わらじをもらったんです。

木村― わらじ履いている人、見たことないですよ。相当珍しかったでしょうね。

志村― そうですね、電車なんかに乗ったら、周りのリアクションが面白かったですね。でも、わらじも、都内だと3日か4日しかもたないんですね。「これは運動靴より高いんだぜ」って小道具さんに言われて、それで普通の運動靴をもらった。

木村― それで1年ぐらいで逃げたとか……

志村― 僕、「3年やる」って決めてて、1年半ぐらい経った時ですね。昔のコメディアンは必ずいろんな仕事をやっているんですよね、「あれもやった、これもやった」って聞かされて。「オレ、何もやっていないなあ。高校も卒業しただけで」って思って、いかりやさんに「ちょっと1年間、暇をください」って頼みに行ったんですけど、本人は覚えていないんですよ。

木村― 突然いなくなったわけではないんですね。

志村― いかりやさんの付き人にも「1年間で帰ってくるから」って言ったんだけど、そのとき、いかりやさん、たしか夫婦仲が良くなくて、「うるさい、うるさい」って……(笑)。
 それで、スナックのバーテンをやったりして、1年して帰ってきたら、「おまえは黙って逃げたということになっている」と(笑)。

木村― 1年ぐらいその世界を離れられて他の仕事をすると、やはりものの考え方とかちょっと広がったりしました?

志村― わかったのは「どこでもやなヤツはいるな」ということですね(笑)。

木村― 芸能界だけじゃなくて。

志村― ええ、「腹を立てちゃいけないな」と。

木村― なるほど、それは正しいかもしれない。で、また戻られて、こんどはコンビを組まれたんですよね。

志村― 戻ってからまた1年半やって、それで付き人同士でコンビ組んだんです。初めのうちは全部前座ですよね。最初は「小松みどりショー」で、コントをやらせてもらったんですけどね。

木村― どうでした、そのとき。

志村― まあ、そこそこは。漫才の方がいて、「おまえらまだ新人だから、見せてやるから、こうやってやっておけ」といって、もう何十年もそれをやっているんでしょうけど、見てると、「あーあ」と(笑)。僕らはわりと暴れるほうで、僕らのほうが受けたんですね。結構、評判良くて、小柳ルミ子さんとか沢田研二さんのショーの前座にも出させてもらった。ルミ子さんが初めて日劇でショーやるときに、「もったいないからショーのなかに入れましょう」と言ってくれて、初めて日劇の舞台を踏んだんですよね。僕ら、あの時代は「日劇の舞台を踏む」というのが夢だったんです。

木村― そうですよね、憧れですよね。

志村― ええ。そのとき、僕ら「マックボンボン」っていう名前だったんですけど、日本テレビの「ぎんぎら! ボンボン!」という番組にレギュラー出演してたんだけど、相方がネタつくるのが間に合わなくなってきて逃げちゃったんです。

木村― ああ、なるほど。でも、テレビのレギュラーができるぐらいまではいったんですね。

志村― そこそこのネタはあって、受けてはいたと思うんですけど。でも、いまでいう「ただ、若い人の前では受けた」というぐらいですけどね。

木村― そのコンビはどのぐらいやられたんですか。

志村― 1年半から2年やったんですかね。相手が逃げちゃったから、もう一人付き人がいたので、そいつとまた組んだんですよ。そいつも、自衛隊上がりのちょっと曲者で、コントつくるために稽古をやろうというときになると、必ず新聞見ているんですね。「おい、稽古やろうぜ。何見てんだよー」というと、求人欄見てるんです(笑)。

木村― ニュースを見てるんじゃないんですね(笑)。

志村― 「なんだよ、おまえ、やる気ないのかよー。じゃ、やめよう」って出ていくと、駅までそいつが追っかけてきて、「志村さーん、もう一回やります」って。それでおでん食いながら飲んで別れるんですね。翌朝、また新聞見ている(笑)。そうこうしてるときに、いかりやさんからドリフの話が来たんです。

木村政雄編集長 Special Interview

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