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いまの世の中の良い点

 百円ショップというのも、ある種のヴァイキングみたいなものですね。食べ物とは違うが、どことなく似ている。よりどり見どり、というところが似ているのだろう。
 でも百円ショップというネーミングは、安物ショップということで、とりあえずの物だけが並んでいる。物をよく吟味して買う、というようなところからはほど遠い。使い捨て社会の出店みたいなもので、あまり気持のいいものではない。
 でも最近、よくなった物はいろいろありますね。靴がそうだ。固い革でピカピカの、デザイン優先というか、スタイル優先のちょいわる靴は、あいかわらず足に痛そうだが、いわゆるウォーキングシューズという分野の靴は非常に有難い。靴といえば足にきちきちのものというのが昔の常識で、ゆるい靴なんてだめな靴と思われていた。だから昔は靴といえば堅苦しいものとばかり思わされていた。
 そのころ履きやすい靴といえばゴム底布製の運動靴、ズックと呼ばれるもの。でもそれは運動のときに履くもので、ふつうに履くものではないと思われていた。昔は世の中一般にそういう様式的な考えが強くあった。ネクタイをしていなければホテルには入れてくれなかった時代である。それが必ずしも悪いことだとは思わないが、靴に関してはとにかく快適ではなかった。
 その後バッシューというのが一時期流行りはじめましたね。バスケットシューズ。もちろん若者の遊び世界に限られるが、バスケットの現場以外でも、あれを履く風潮があらわれて、それがある意味、ウォーキングシューズの走りではないだろうか。履きやすいものならふつうにも履けばいい、様式よりも実質本位、という流れが少しずつ出てきて、スニーカーという呼び名もあらわれ、いまのウォーキングシューズというものになっているのだと思う。
 世の中変ったということもあるが、靴メーカーの企業努力ということもあって、この間買ったのは真面目なセビロ世界でも履けるような、しかも柔らかい革の靴で、靴底や中敷きなど、じつに足が長時間楽なように工夫されている。最近の世の中は……、と慨嘆することばかりが多いのだけど、改めて、こういう履きやすい靴が出回っていることを思うと、慨嘆は慨嘆として、昔に比べたらいい世の中だと、部分的には思えますよ。

赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

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