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愛川欽也 俳優

恋する勇気を

大小説家をめざして

木村― いまは文化放送のラジオ、やってらっしゃるんですね。

愛川― ええ。まあ原点というわけじゃないんだけど、ラジオは好きだからね。

木村― やっぱりいいですか、ラジオは。

愛川― ラジオはいいね。テレビだってよかったんですよ、いまのテレビがつまんないだけでね。放送というものの原点は絶対に、僕はナマだと思うね。ナマであるということがいちばん。

木村― ラジオで活躍されて、テレビでも長く活躍されて、ドラマもいっぱい主演なさって、次やろうと思ってるのは何ですか。

愛川― いまは小説です。ちょうど世の中、小説がいちばん売れない時期になってきたので、なら僕が書こうと。なんか売れない時期と重なっちゃうと、やりたがるのかなあ。そういうところがあるのかもしれないね。

木村― 今度お出しになった小説『黄昏れて初恋』を読ませていただきました。自分の気持ちみたいなのを主人公に投影なさってますよね。

愛川― 僕は小説でこれ二冊目なんですよ。一昨年かな、『泳ぎたくない川』という小説を書いた。これはまあ半自伝的小説ということだったんです。今度はそういうのを離れて、もっと普通のことを書いてみようと思った。これが本当の意味の小説第一作だと思うんです。これからたくさん書いていこうと思うんですけどね。

木村― 10年後は大作家になってるかもしれない。

愛川― いやいや、どうかねえ。

木村― でも、この小説の主人公のように、ほんとに初恋してみたいですね、黄昏れても。

愛川― まあ皆さん、そう言っては失礼だけど、中年から上の人たちに、恋する勇気をね。

木村― そうですね。私生活では、もう初恋はなさらないんですか。

愛川― もう15年か20年若きゃねえ……。

木村― でも、そういう恋心って持ってたいですよね、いつまでもね。

愛川― ああそうですよ。やっぱりそういうものがなくなったら、役者はどうしようもないし、ましてや小説家になろうっていうんだったら、そうじゃないですかね。
 ただ、いつも思うんだけど、最近のいろんなドラマや小説なんかで、いちばん欠けているのが「情感」だと思う。ですから、僕は芝居でも小説でも、「情感」をいちばん大事にしたいですね。

〈後記〉久しぶりにお会いした愛川さん。いや、相も変わらずパワフルだこと。3時間の生放送の直後にもかかわらず喋りっぱなし。記事になった3倍くらいのボリュームは優にあった。次の仕事場へ急ぐ愛川さんを見送ったあと、お茶も飲まずに対談していたことに初めて気付いた。「黄昏れてなんか、いないじゃん」。私よりも一回り上、あの元気さの秘密を伝授してほしい。一度、そーっと愛川家を覗いてみるか。(木村)

撮影=中野正貴/構成=森國次郎

木村政雄編集長 Special Interview

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