飲酒運転の許される場所は他にもある。領土がハッキリしていない場所、つまり、まあ、ほとんどが紛争地である。私の経験では、紛争中のボスニア山中、独立直前の東チモールなどであった。東チモールなんぞ、バイクを買うのにパスポートも免許もヘルメットも不要、通用するのは現ナマだけ。こういう土地で、スナイパー(暗殺者)がうようよいる山中を酒も飲まずに走れというほうが、どだい無理。ハンドルを握るだけでシャレにならないのである。最近、新たなリゾートとして注目されているアドリア海沿岸のスプリト(クロアチア領)なぞ、故橋田信介氏(報道カメラマン。イラク戦争中、ゲリラに殺害される)によれば、紛争の真っ只中に傭兵がロシアンルーレットで頭を吹っ飛ばすのをバーで目撃したというくらいの町だったのである。そんな町の道をシラフで走れという方が無理なのである。
ところが逆に、飲酒運転どころか酒自体が飲めない土地もある。そう、イスラム圏である。特に中東。とはいえアフガンでもイラクでも、いや、クウェートでさえ(質はあまりよくないが)アルコールを調達してきた私である。が、このあたりの国々では、持っているだけで命に関わる超物騒な物(ブツ)、それがアルコールなのである。日本における覚醒剤と同じくらいである。しかし、そういう国に限って、飲酒運転よりもっと物騒なものがあるのが常。そう、道中に潜むテロリストや山賊である。世の中、案外バランスがとれているものなのかもしれん。
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飲酒やめますか、人間やめますか?
宮嶋茂樹(報道カメラマン)
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