シャンパンといえば、乾杯の時に飲む酒と、単純に思い込んでいる人は、もう時代遅れです。
フランス料理のレストランなどでは、シャンパンの飲まれ方が、すっかり変わってきているようです、
もちろんオシャレに。
言い方もシャンパーニュとちょっと気取って……。
クリスマス・シーズンの到来で、ふだんはあまりフランス料理などに縁のない男性諸氏も、この時節には奥方にせがまれて洒落たフレンチレストランでディナーということもあるのではないでしょうか。奥方たちは、ふだんから一流レストランのランチを食べ歩いていて、雰囲気にも慣れ、ワインについてちょっとした蘊蓄なども語れるようになっていたりして、彼我の差は開く一方である。ここは少し巻き返すためにも、お勧めしたいのがシャンパン、いやシャンパーニュの嗜み。いまさらワインについて付け焼き刃で勉強してもちょっとやそっとでは追いつけないが、シャンパーニュならば、何とかなりそうである。
シャンパンの飲まれ方が変わってきているといったが、これは乾杯の時や、食前酒として飲むだけでなく、料理と合わせて楽しむ飲み方が、ちょっとオシャレで素敵ですよ、ということ。そういう飲み方をする人が、今なら、素敵に見えます! というわけで、流行の先取りをしてみたらいかがでしょうか。
最近刊行されたばかりの面白い本をご紹介しよう。新潮ムックスペシャルの一冊として出た『レディへの晩餐 私が主役の贅沢フレンチ ロアラブッシュの12カ月」。これはフレンチの高級レストラン、ロアラブッシュを舞台に、一年間、ロアラブッシュの中嶋寿幸シェフが毎月特別料理を供し、その料理に合わせて矢内徹ソムリエがワインを選び、お客の星野桜子さんが食べ飲みながら、矢内さんと料理とワインを分析しつつ、レストランのサービスやお客の心構えに至るまで語り尽くすという内容で、とても贅沢な手の込んだ本である。またお客の星野さんがなかなかキャラの立った人で、言いにくいこともはっきり言うところが、出色の本でもある。高級フレンチでのお客としての振る舞い方がうかがえる点も面白いのだが、目を惹いたのが、コース料理と共に赤や白のワインを通常二本チョイスする中で、あえてシャンパーニュを選んでいる回がかなりあるということ。つまり食事に合うシャンパーニュというところに焦点を当てているのが斬新なのである。例えば、鮎や鱧などの和の食材を使った回で、白ワインの後にシャンパーニュを出すというひねった試みや、シャンパーニュと赤ワインを交互に飲みながら、しかもグラスの形を変えることで味わいを変えるという試み。またシャンパーニュと白ワインを同時進行で飲みながら、一つのお皿の料理を二種類の味わいで楽しむなどといった、ちょっと通でなければしないような飲み方、食べ方が紹介されている。
そこでこの本に登場するロアラブッシュの矢内さんにシャンパーニュの今風楽しみ方をうかがってみた。
――本の中では、料理に合わせてシャンパーニュをさまざまにチョイスしていますよね。ああいう飲み方をするなんて、知りませんでした。
「いろいろなタイプがあるんです。何でも料理に合うわけではありませんが、うちでは40種類ほど用意していますし、ご相談いただければ、ソムリエがきちんとチョイスしますよ。あえてワインを飲まずに、シャンパン一本で通すというのも素敵ですね。それに本の中でやっていますが、これは星野さんの提案で、パーティ帰りのシャンパーニュ・ディナーというのを紹介したんです。パーティでオードブルなどを軽くつまんで、フルコースは重いけれど中途半端にお腹が空いているという時に、前菜と一品にシャンパーニュでなんて、とってもいいと思いますね。レストランをそういうふうに使われるのもオシャレじゃないでしょうか」。
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