「バブル経済が崩壊して十数年、這いずり回ってきましたが、何とか新たなチャンスをつかむことができた。それで、ふと我に返り、自分が将来的に、本当にやるべき仕事は何かと考えたんです」
02年4月発行の著書『1000億円失って』の巻末に、その構想は記された。「昭和30年代村計画」、昭和30年代の日本を再現したような理想郷をつくり、住人たちで自主運営していくものである。
「このプロジェクトを簡単に言うなら、「村ごとリゾートウィークリーマンション」です。以前から、リゾートになぜウィークリーマンションがないのかというお客様の声を聞いていましたし、海外にはそういう施設が当たり前にあります。ですから、リゾートにも建てようといろいろ視察したんですが、当時は土地も高く、オールシーズンで使えるリゾートがなかった。ところが、土地は暴落、それに昭和30年代村というテーマパークならオールシーズンOK。加えて、単純なリゾート宿泊施設ではなく、団塊の世代を中心とした人たちが第二の人生を送る場所にもする。まだ働ける、働く意志を持つ僕たち団塊の世代が今後、そこに行けば、終の住処を確保でき、自分たちができる仕事、あるいは他人に何かできることを見出せるようにするんです。終の住処ですから「村ごと介護施設」の面もありますが、姥捨山でなく、老若男女が共生していく共同体にしていきたい」
「昭和30年代村」の話になると、川又代表の弁舌は一層爽やかに、目はより爛々と輝いてくる。本気が、伝わってくる。だが、丸ごと「横浜ラーメン博物館」、丸ごと「ナンジャタウン」のような村をつくろうというのだから、途方もない夢のようにも思えるのだが……。
「事業規模は全体100億円ほどですが、うちが用意しなければならないのは、一ヵ所約30億円の予定。ウィークリーマンション一棟分とほぼ同額なんですよ。過去の実績で言うと、マンション40数棟建てていますから、全国四七都道府県すべてに昭和30年代村をつくれた」
事実、プロジェクトは動き始めた。第一弾として、静岡県伊東市に土地を確保し、正式契約も済ませている。また、パイロット施設として、伊東駅前に「キネマカフェ伊東劇場」「キネマ射的場カフェ「セントラル」」をオープン。早くも伊東の町には波及効果があり、町起こしの一環としても、注目を浴び始めている。
「このプロジェクトは不動産、福祉・介護、そして情報ビジネスにもつながるわけで。自分の事業の総決算みたいなものなんです。ですから、絶対、成功させたいし、成功させる自信もあります」
国も多くの地方自治体も、いまも返済不可能と思える膨大な借金を抱えている。そんななか、真正面から負債に取り組み、夢のような新規事業に挑み続ける川又代表――瞠目して、今後に期待したい。
川又三智彦
1000億円の負債から復活 ツカサグループ代表
「昭和30年代村」という大きな夢
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「住民は昭和30年代のままの暮らしをする――ノスタルジーだけでなく、充実した時間を過ごせると思います」。 |
取材・文=羽柴重文(編集企画室Over-All)、撮影=坂口トモユキ
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