それが今度行った東京競馬場ではずいぶん違った。最近施設が新しくなったらしいのだれど、大変に近代的で、きれいだ。しかも入口にしろ観客席にしろ、大きい。余裕がある。受付や場内整備の人もしっかり大勢揃っていて、みんな新しい制服を着ている。すべてにシステム化された感じだ。
来ている人の雰囲気も違う。昔とは層が違うのか、若いふつうの人が多い。女性もふつうに来ている。全員がすってんてんにすってしまった人には思えない。とりあえずふつうという印象が強かった。
とにかく、とりわけすさんでもいない人々が大勢来ている、その数に驚いた。野球より凄い。野球やサッカー場の場合は、グラウンドをぐるりと観客席が取り巻いているからまた違うのだが、競馬場の場合は巨大な観客席が一個所にあるだけだから、よけいに群衆のボリューム感は凄い。
ジャパンカップという重要なレースだということもあるのだろう。やっぱり一番の関心はディープインパクトらしい。この間フランスまで行って凱旋門賞というのに出て、勝つと思われたのが三着に終り、しかもその後薬物疑惑の騒ぎもあって、どうにも煮えきらない気分が広がっていて、それでみんなここまで押し寄せてきている、という事情もある。
そういう漠然とした、群衆の全体の雰囲気は感じられるんだけど、こちらは何しろ競馬場はほとんどはじめてなので、どこでどう馬券を買って、どの辺でどうレースを見ればいいのかわからない。レースの始まる流れも、どうきてどうなっていくのかというのが、もうひとつよくわからない。
でも人々の空気の高まりでそれの迫っているのが感じられて、何だかざわついてきた。出走馬が入場し、トレーニングをしている模様だ。野球でいうとまず遠投からはじめたというところか。群衆の空気の動きで、中にディープインパクトのいるらしいことがわかる。何しろ広くて遠いので、細かいことは見えないのだ。そうだ、双眼鏡を持ってくるのを忘れた。そういえばさっき、貸双眼鏡なんて窓口があったな。
高い台の上にきちんと背広を着た人が上がり、手に赤い旗を持っている。なるほど、あれを振ってはじまるのだな。
人を感動させる馬
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