これらの草花木は、全国各地から特別に野山に分け入って見つけられたものや庭先の花が、「野にあるまま」で運ばれてくるのだという。店の中の心地よさの秘密は、ここにあるのかもしれない。あるがまま……、それなのである! それゆえに、当然、枝は好きなように望む方向に伸び拡がっているけれど、自然ゆえに、これがまた「いい枝ぶり」(と、こちらが愛でれば、よく見えてくるというおかしみもある)なのである。
冬は手に入る花材が少ないとのことだが、冬の花の代表「椿」は、そろそろいろいろな種類が顔を出し始めてきていた。日本海側の代表的な「やぶ椿」も奔放な枝ぶりに、ぽっと可憐な花を点している。雪景色のなかで映える艶やかな緑色の葉に紅を指したような風情が侘び寂びに通じるのか、椿はお茶花でもある。「師人【もろひと】」「加茂木阿弥」「曙」「少公子」「西王母」と名づけられた花姿が凛と並んでいた。
野花・茶花を売るだけではなく、ここ「司」では、花文化を拡げる様々な試みも行っている。茶花教室をはじめとして、野の花の美しさを描く「小さな植物画教室」、花・葉・実・枝・蔓などの自然素材で「かごを編む教室」、「野花のステンシル教室」で作る花ハガキも人気とのこと。「山野草の寄せ植えと盆栽教室」は男性も気楽に参加できそうだ。お店に盆栽のいい見本が置かれているので、自分好みを作ってみたい意欲も起きてこようというもの。基本から植え込んだ作品の管理まで、きちんと知っておきたい男性には、とても興味深い教室かもしれない。
園芸植物にはない、思いもかけない面白みを持った野の花。早速、何か求めてみようと見渡すと、今日島根から届いたばかりというエンドウ豆の花を見つけた。茎のしっかりした太さ、蔓のくるくるとした巻きの力強さ、なのにそこはかとない薄黄緑の茎色、透けるような薄桃色の花色! スィートピーとは全く異なる、逞しいボディに優しみのある花である。しかし結局は、もの珍しさと実の可愛さに負けてヤドリ木を購入。ところが、このヤドリ木、なかなかに発見のある木だったのである!! 「珍しいものを置いてあります」といわれたのは、このことだったのだろうか? 野の草木花には、汲めども尽きぬ妙味がある。
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野の花 司
自然の草木花を愛でる銀座の花所
野の花 司
東京都中央区銀座3-7-21
電話◎03-3535-6929
営業時間◎平日:10~17時/日・祝:11~18時
www.nonohana-tsukasa.com
撮影=牧田健太郎、取材・文=伊部理子
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