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角川春樹 出版人・映画製作者

生涯現役の不良

あらゆるものに拘束されない生き方をしよう

木村― 先ほど応接間にいっぱい本がありまして、本の見返しに角川さんが墨で「生涯不良」と書いてありましたが、角川さんのおっしゃる不良というのはどういう定義なんでしょうかね。

角川― これはね、刑務所で自分で考えて決めたんですよ。人間というのはいろんなものによって拘束されている。例えば「使命感」なんていうことが人間を一番縛りやすい言葉ですよね。「正義感」もそうですよね。「国家観」、国家に対する大義なんて全部そこから来ている。だから生涯不良というのは、あらゆるものに拘束されない生き方をしようと。そんなことを一番拘束の厳しいところにいて考えたわけです(笑)。

木村― いま児童虐待とか凶悪事件が頻発してますけれど、そういういまの日本の風潮をごらんになってどう思われますか。

角川― それは誰の責任とかいうんじゃなくて、もう世界的に質が悪くなってるんですよね、日本だけじゃなくて。モンゴルなんかへ行ったって、やっぱりそうですよ。
 つまり、「理想的な国」なんて絶対ないと思ってるんです。だから、どこか別の国に亡命したらその国で幸せになれるかというとそれはないと思うんですね。自分の生きてるなかで、まず身近な自分の周りでしょうね。周りには人間の付き合いがあるから、付き合いを通して、仕事の人間でもなんとかいい方向に変えていければなあと、そう思いながら付き合ってるんですが、なかなかそうはいきませんけどね。

木村― この「ファイブエル」という雑誌は50代がターゲットなんですが、それまでの仕事を離れるということで生き方に悩んでいる人がいっぱいいると思うんです。そういう方に角川さんからのメッセージがあればおうかがいしたいんですが。

角川― メッセージといえるかどうかわかりませんが、リストラされて自殺をしてみたり、ショックに弱いですよね。人間というのは比較の動物ですから、例えば大病して大手術して生き延びた人は、なかなか自殺なんてことは考えないし、起伏に対して強いんですよ。だから、自分のことでいうことはあまりないんですが、この間も友人が千葉県のある選挙で落選したんです。「おまえよかったな」といったんですね。エリートにとって初めての挫折でよかったんだ、これで少しはましな人間になれると。

木村― じゃあ、挫折とかあったら大歓迎すればいいですね。そのぐらいのたくましさを持たないとだめだということですね。

角川― うん。悩むのは、これ当然ですよ。悩みを逃れるすべはないんで、なにかに逃げないほうがいいんですよ。宗教だとか、なにか自分のすりかえをすることはしないほうがいいという気がします。それを受けとめてしまえば、ある期間はつらくとも、それは肥やしになりますからね。先ほどもいったけれど、つらいこと、悲しいことがあっても、それは自分を大きくするんだと思って、「前へ前へ」ですよ。そう自分に言い聞かせることですね。

木村政雄編集長 Special Interview

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