ようこそ ゲストさん [ログイン]


トップページ > バックナンバー > 赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み > 

  • 印刷
  • 大
  • 中
  • 小

膨張するピンハネ世界

 アパートを借りる場合でも、年寄りはいまはなかなか借りられない。
 以前還暦過ぎの独り者の友人が、何十年と住んでいたアパートを出た。どこか探そうと軽く思ったが、30歳以下の保証人がないとどこも断わられる。
 前のアパートは、長い間住んで信頼関係もできていたのだ。でもいったんそういう場所が崩れてしまうと、年寄りは一気に路頭に迷う。
 友人は苦闘したあげく、どうにもならず、とうとう郷里に帰らざるを得なかった。
 その現実はショックだった。
 社員になれず、あるいはならず、アルバイトで働く若者にも、そういう現実が迫ってきている。
 会社はたしかに退職金もボーナスも払わずにすむから、アルバイトや契約社員を多用するが、その結果はどうも日本の場合、若者には希望がなくなる。
 若者もまた甘いのだけど、でも気がつけば厳しい世の中に立っているのだ。
 でもそのせいか、人材派遣会社というのはうるおっているらしい。
 そこのところがどうも気に食わない。
 仕事を斡旋するだけで、収益を上げる。
 昔はピンハネといった。
 自分は働かずにその上前をはねる、というイメージがあって、でもそれはイメージ通りのことだった。
 昔は職業安定所、職安、いまでいうハローワークというのがあって、その国家事業がちゃんとしていればいいだけの話だが、恐らくちゃんとしていないのだ。
 熱意がないのは、お役所の欠点である。
 だから民営化ということになり、そこで熱意は生れるが、そこだけがうるおって、フリーターといわれる若者の未来が閉塞するのは、いかがなものか。
 斡旋業というのは、昔はどこか怪しげなイメージがあった。
 いまはそれが名前を変えて、大手を振ってうるおっている。
 高利貸しといえばさらに怪しげなイメージがあったが、いまはそれが名前を変えて、大手を振ってうるおっている。
 テレビCMにあんなに大手を振って、のべつまくなしに高利貸しが出るというのが、そもそもおかしい。
 美しい国までには、程遠い距離がある。

赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

一覧(25件)

[ファイブエル]バックナンバー