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洋菓子舗ウエスト

銀座の品格を守る老舗ティールーム

左=ゆるやかな階段を上がって扉を開ける。このレトロなアプローチに、まず和む。右=真っ白なテーブルクロスにティーセット&シュークリーム。この席はNHKがまだ愛宕山にあった頃、永六輔さんが週5、6日来ては、一日中原稿を書いていたという席。

 銀座に古くからある店には、この街とともに歩んできた尽きぬ興味の歴史がある。ここウエストもまたしかり。なにせウエストは、今年60周年を迎える、銀座の今昔をよく知る店のひとつなのである。
 ウエストのスタートは、終戦後すぐの昭和22年1月、「グリル・ウエスト銀座」という洋食レストランだった。そのころ、銀座通りから西側を「西銀座」と呼んでいたことから、この名前が付いた。「グリル・ウエスト銀座」は、当時コーヒー1杯が10円の時代に1000円のフルコースを出すという高級レストランだったが、食料難の時代にあって、美味しいもの高級な雰囲気を求めていた銀座の紳士たちには受け入れられたという。しかし、程なく施行された「一人前75円以上のメニューを禁止する」の都条令によって、喫茶への方向転換となった。
 喫茶になっても、コーヒー一杯50円という高級路線は変えなかった。そのかわり、すべて本物志向。物資の乏しい時代だったが、甘みもサッカリン、ズルチンといった代用を使わず本物の砂糖を、ケーキにも本物のバターや砂糖やミルクを調達し使った。このこだわりは時代が移っても変わらず貫いている。美味しい飲物は「水」からと、コーヒーなどには、1981年からミネラルウォーターを使っている。「水と空気はただ」と思われていた時代にこのこだわりは、そうそう真似のできることではない。銀座に根を張る店の心意気だ。

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