木村― なんでボクシングをおやりになろうと思ったんですか?
片岡― まず、子供の頃からボクシングがたいへん好きだったというのが、どっかであったんだと思うんです。
それから、18歳でこの世界に入って、「オレたちひょうきん族」があり、それから、「男女7人夏物語」「男女7人秋物語」で、やっと自分がやりたかった、ドラマの世界にも行くことができた。その頃、もうちょっと役者というものを深く掘り下げる作業をしていきたいなという思いが強くなっていったんですね。それには、それまでの「鶴ちゃん」というキャラクターの肥った肉体が邪魔になってきた。本当にいろんな役をやるんであれば、肉体も精神もリセットしなければ、次の展開がないだろうと。それには、ボクシングが一番よかったんですね。
それに、バラエティーの世界では、仕事が終わって、芸人仲間と夜中までお酒を飲んで、馬鹿なことを言い合って、それがまたネタになっていくという生活なんですね。そういう生活もボクシングをやることでリセットしなければならないということもあったんです。
木村― いまは想像もできないんですが、お笑いがメジャーになったときですから、みんなが非常に躁状態にありましたね。すごい楽しかったと思うんですよ。でも、いつか落ちるという予感におびえながら騒いでいた時期です。そのときに、鶴太郎さんは、「次にどうしよう」ということを考えていたんですね。
片岡― それと、みなさんといっしょにやっていたときに、本当に自分をよく見ることができたんですね。紳助さん、さんまさんというのは、本当にトークに関しては素晴らしい才能を持っていたので、同じ土俵では太刀打ちできないと思ったんですね。私が持っているものを、最大限に伸ばしていくことをしなければならないと思ったんですね。私の場合はものまね芸で世に出ましたから、私のギャグは、どなたかに扮して、初めて成立するんです。
木村― 役者さんに近いんですね。
片岡― そうなんですよね。いかに扮して、表現するかという。そこで笑いを表現したり、人間を表現したりするというのが、私の資質なんですね。
このままでは、「オレたちひょうきん族」という大きな流れのなかで自分を見失うことになる。ですから、自分の道を歩かなければならない。それが、ボクシングのジムだったんですね。
木村― ボクシングをやられて、よかったというのは何ですか?
片岡― 何となく気分がすぐれないときとか、何か鬱陶しいときに、ジムで身体を動かして、汗を流すと、すとーんと気が晴れるところがあるんです。もうボクシングで運動するということが身体にしみ込んでいるんですよ。ジムが終わった後、しみじみと思いますね。ボクシングをやっていて、ほんとによかったなあと。
![[ファイブエル] 団塊世代のエンターテイメント誌 Entertainment Premium Magazine](/img/header_title_in.gif)



![[ファイブエル]バックナンバー](/img/side_backnumber.gif)