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森下篤史

フードビジネスで快進撃する
テンポスバスターズ代表取締役社長

神様が試練を与えていると考える

 「何度も崖っぷちに立ちましたからね。そして、何度もつまずいて、もう一度挑戦するということに慣れていった(笑)。ただ、ボクは常に前向きだったんですよ。そして、困ったと思っても、自分の頭のなかに神様がいて、試練を与えてくれるような感覚になっていった。当事者として思い悩んだりもしたけれど、「森下、どうだ?」と神様が試練を与えているとも考えていたんです。100%当事者でない気分になり、精神的にラクになった」
 走り続ける森下社長の不安は、危機感付きの開放感へと生まれ変わっていった。それは肉体を酷使して得られる、“ランナーズハイ”のような離人症的な感覚から生まれた――そういう自分を客体視する視線が、やがて成功を生み出すことになる。
 「会社経営は、生存競争なんです。生存競争では、危機感を背負っていかなければならない。そして、危機感があるから、次々と手を打っていくわけですよ」
 97年に中古厨房用品のリサイクル・ビジネス、テンポスバスターズを設立、埼玉県川口市に大型店舗を構えた。それまで、業務用厨房・調理用品のリサイクルを大規模に行うところはなく、大歓迎され、わずか5年でジャスダック上場。生活用品や衣料、宝石のリサイクルにも手を広げて失敗もしたが、フードビジネスに完全にシフト、開業支援、内装施工、ファイナンスほか事業を拡大している。そして、その快進撃の背景には、冒頭に述べた(森下社長の思想が込められた)独特の人事制度による従業員のモチベーションアップがあるに違いない。
 「テンポスバスターズは店舗を全国展開することによって、閉店・開店をはじめ、さまざまな情報が集まってくる。うちの事業分野は、その情報を加工することによって、いくらでもあるんですよ。コアビジネスは物販だけれど、本業そのものが専門的になってきたために、シナジー効果で加速度的に花開いていくと思う。いままでは単なる前口上で、これからが、いよいよ本番。面白くなってきますよ」
 ビジネスだけでなく、オフタイムもアドレナリン全開で満喫している。毎日の肉体のトレーニングに加え、月に一度は郷里に戻り、畑仕事に汗を流す。キリマンジャロ登頂という夢に向け、毎月、3000メートル級の登山を続ける。また、英会話、エレクトーンも習っている。
 「ずっと挑戦していきたい。ただ、前向きなだけだと、どこかで誰かの世話になっていることを、つい忘れがちになってしまいますから、最近、感謝の気持ちを忘れてはいけないと、痛感しているんです。それで、経営者や起業家のために「上場塾」と「始道(しどう)塾」を、ボランティアでやっているんです。自分でも、国や社会の役に立ちたいですからね」
 団塊の世代のトップランナーの一人として、森下社長は今日も疾走している。

取材・文=羽柴重文(編集企画室Over-All)、撮影=坂口トモユキ

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