さて、もう一つ。
重大なカラクリを頭に叩き込んでいただきたい。
あなたが狙っている住宅は、相場より高く貸せる代物か? という問題だ。
たとえば、私の自慢話でちょっといやらしいのだが、都心のボロ家を手に入れ改造したことがあった。
で、賃貸に出した。即決! 月の家賃、100万円近くで貸し出せたのだ。目論見通りである。
ここが肝心で、読み飛ばしてはいけない。
賃料は相場の2倍だったという事実だ。
同じ大きさの周辺の家は、40万円がせいぜい、目一杯で50万円といったところなのだ。
なぜ、2倍で貸せたのか?
もちろん加治はプロだから、巧妙に仕掛けをちりばめてはいるものの、なんといってもデザイン力だ。デザインが賃料を押し上げたのである。
いさぎよく畳の部屋をなくし、こまごまとした間取りを取っ払って、広い大きなリビングルームを出現させ、肝の据わった欧米家屋にしたのだ。
むろんドアを開けると、玄関などという俗な小部屋はない。いきなり大貫禄のリビングルーム。背の高いキッチンを採用し、窓はぐっと外に張り出す出窓にした。
扁平な和風から、立体感のある純欧米風に変身させたのである。
すると、どうなる?
そう、外資系の会社がきっちり借り上げたのである。
日本に赴任する外資系の幹部、もしくは幹部候補生の住宅用である。
彼らは本来なら、家族と本国で暮らしたい。
もし移動しなければならないのなら、同じヨーロッパかニューヨーク。エリートがなにもすき好んで、カルチャーギャップの大きい(ほんとうは小汚いと思っている)日本などで、働きたくはないのである。
本社人事部での交渉がはじまり、その結果、給料の積み上げと、子供と住環境は充分に整えるという契約書が交わされる。
すなわち、今アチラで住んでいる家の質を落とさないという取り決めである。
ところが天下の東京だ。あるわけはない。あっても絶対数が足りないのである。
そこで取り合いになる。カネに糸目はつけない。完全無欠の欧米型なら、100万円だって、200万円だって借り上げる。
ここに突け込んで、いや、すなわち需要と供給のバランスの関係で、相場の2倍の家賃に跳ね上がったのである。
ただしこれは、顧客が外資系企業であるため、東京エリアという限定された場所の作戦になる。
だがご同輩、心配はご無用。海外滞在経験者という富裕層は、おしなべて欧米住宅に住みたがり、そのためにはカネは惜しまないという時代の流れはますます勢いづいている。つまり大都市なら、この芸は効く。
いやあ、ついに秘密をバラしてしまった。マネしないでいただきたい。競争が増えるから……。
家のデザインが賃料を押し上げる!
――アマチュア不動産投資法(4)
加治将一(かじ・まさかず)小説家・投資家。1948年、札幌市生まれ。1978年に渡米。15年間、保険、貿易、不動産関係の業務に従事。帰国後、執筆開始。著書にベストセラー『借りたカネは返すな!』等のビジネス書、『石の扉』などがある他、『妻を殺したのは私かもしれない』『借金狩り』等のサスペンス小説作品も評価が高い。近著に大評判の『性善説は死を招く』『あやつられた龍馬』がある。ホームページでブログ毎日更新中! 『かじまさ.net』
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