ようこそ ゲストさん [ログイン]


トップページ > バックナンバー > 赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み > 

  • 印刷
  • 大
  • 中
  • 小

むかしは子供が年金だった

 少子化の問題。これは素晴らしいことのはずである。人類破滅は人口爆発からだと、もう何年も何十年も前からいわれていた。
 いろいろな論を読むと、まことにそうだろうなと思うほかはない。だからぼくは何年も何十年も前から、覚悟を決めていた。
 でもそれが少子化という悲観的な問題としてあらわれるなんて、予想もしていなかった。
 中国での一人っ子政策が出てきたころは、強引だけどそれしかないのか、と溜息をついた。で、日本はどうなるのだろうと思っていたら、いつの間にか出生率の減少で、とうとうマイナスだ。
 考えたらこれは、文明の先進国だからこそのことで、なるほどこうなってくるのかと思った。
 いつの間にか生活のレベルが上がってしまい、そのレベルを下げたくない、というのが先にあるから、子供は作れない、ということになっていく。まさかそうなるとは思わなかった。豊かだからこその現象だ。
 豊かなんてとんでもない、マンションのローンを払うのに大変ですよ、といわれるかもしれないが、そんな心配のできるのが、豊かさの証拠である。
 昔はそんな心配もできなかった。とにかく結婚というのはするもので、結婚すれば子供はできるものと思われていた。そもそも「選択肢」なんて言葉はなかったのだ。
 かつての時代は、論理が少なかった。考えるということが少なかった。いまは何ごとも考えすぎる。論理ばかりがあふれている。
 それはともかく、人類全体としてはやはり人口増は進んでいる。いわゆる先進国に少子化の傾向があらわれているものの、いわゆる途上国では、やはり結婚はするもの、すれば子供はできるもの、という自然主義のなりゆきで、ぐんぐん増えつづけているわけである。
 だから少子化問題というのは、人類の問題というよりは国の問題らしい。このままいくと国が縮む。国民が100人、50人、10人、5人となって、最後は消えてしまう。そうなっては大変だ。
 ということらしい。
 文明が進むと少子化がはじまる、というのが定理だとすると、地球の全部の国が先進国になれば、そこで人口増はストップする。ということだとしても、そこまで世の中が持つのか。それにいったん先進国に到達した国が、その後ぐしゃぐしゃになり、またまた人口対策のアナーキーな状態におちいる、ということがあるかもしれない。

赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

一覧(25件)

[ファイブエル]バックナンバー