日本が誇る酒造りの郷、神戸・灘。
この地で創業350年を迎えようとする菊正宗が、昨秋、今では珍しくなった伝統の技“生酛造り”で醸された純米酒を発売した。それが『正宗印生酛純米』だ。
その歴史は江戸中期にまで遡る。当時、灘における酒造りの技術を飛躍的に進歩させた技術集団「丹波杜氏」は、菊正宗が今に伝える「丹波流・生酛造り」を確立させた。そうして造られた酒は、灘から江戸へと渡り、“灘の生一本”として名声を博す。なかでも「正宗印」のつくものは、“酒は正宗”と評され、多くの人から愛されたという。
しかし、この伝統の酒造りはその上質な味わいと引き換えに、高度な技術と時間を要するため時代と共に多くの酒造メーカーから敬遠されることになった。そんな中、現在まで「生酛造り」を守り続けたのが菊正宗だ。では、今になって“正宗印”をモチーフにしたラベルで、その伝統を改めて世に示すことにしたのは何故か。
「今、世の中では本物が忘れられてしまっている。だからこそ、「生酛造り」という本物の技で造られた本物の味があることを世の中に改めて伝えなければいけないと感じました。我々の先輩が伝え続けてきた伝統を、ここで途絶えさせるわけにはいかない…」小島喜代輝(おじま・きよてる)杜氏は、そう語る。
コクと旨みがありながら、あと味すっきり、キレのよい本格辛口。伝統を今に伝える杜氏渾身の作は、呑むたびに笑顔がこぼれる本物のうまさだ。
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菊正宗杜氏・小島喜代輝氏。

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