木村― 私がおもしろかったのは、田中さんの住所複数説ですね。住民税を納める先を自分で選択できる。例えば住民票のあるところに半分、週末のセカンドハウスのある場所に三割とか、いい行政をしている自治体に二割とか。こういうことをやれると本当にいいなと思いますねえ。
田中― 私、「納税者」っていう言葉が違うなと思うんです。先ほども言いましたが、やっぱり「消費者」という視点で常に考えるべきじゃないかと思う。
木村― 確かに、政治家の方があまりBtoC(企業対消費者の取引)とか言わないと思うんですね。そこがすごく新鮮で、そういう目線でいらっしゃるんだなと。
田中― BtoCといっても、パソコンで通信販売を利用する人でも、やっぱりその人の感覚がわかる販売員がいるブティックには買物に行くわけですからね。それはお金や時間には換算できない確かさがあるからでしょう。
最近思ってるのは、日本はもう年間80万人ずつ減っていくんですよ、人口が。私もそれは少し遠い話だったの。その話をある女性にしたら、「うちの県が3年でなくなっちゃうんだ、誰もいなくなっちゃうんですね」って、長野県の人口は220万なんですよ。この女性が言ったことには、やっぱりリアリティがあるんですね。政治家の言う言葉や役人が書いたせりふとか、国連憲章の何条なんて、そんなものはパソコンたたきゃ出てくることで、やはりみんなが身近なリアリティのある言葉がないとだめなんですね。そういう生きた言葉を教えるというか、そういう資質を育てることが、政治に限らず、日本の学校ではないんじゃないですかね。
木村― 夕張の話などでも、「あれは夕張の問題で関係ない」と思っている人がほとんどですけども、「あれは日本の国の一万分の一の現象なのだ」というふうに田中さんに言われると、すごい身近になりますね。やっぱり表現力が違うんですねえ。
田中― でも、物書きとしてはたいしたことありませんでしたからね、たいしたことないですよ(笑)。
木村― いや、たいしたことなくて「文藝賞」はもらえないと思いますよ(笑)。
田中― 「田中康夫は上手なストーリーテラーではないけど、ストーリーメーカーとしては一流だ」と言ってくれた人がいるんですけど。それはトラブルメーカーと同じような意味になっちゃうとあまりよくないんだけど、「気づかせる」ということではとても重要なことなんですね。ですから「チャッカマン」と言ってるんですね。
![[ファイブエル] 団塊世代のエンターテイメント誌 Entertainment Premium Magazine](/img/header_title_in.gif)



![[ファイブエル]バックナンバー](/img/side_backnumber.gif)