木村― この雑誌は読者が50歳以上なんですが、そうした読者のみなさんにエールを送っていただくというか、こうしたらもっと楽しいよ、というような提言をうかがいたいんですが。
田中― それは、たまたま私の場合には独り身だったり……
木村― どうして独り身なんですか、安住が嫌なんですか。群れるのが嫌いなんですか。
田中― 結婚は一回したんですけどね。まあつき合ってるような人も、特に結婚したいというわけでもないし……
木村― 大人になれない?
田中― まあ単純に言っちゃえばそういうことなんでしょうね。
木村― 朝日新聞の社説で「大人になれない知事」と言われ、それはほめ言葉だとおっしゃってましたけども。
田中― 守旧派とも妥協してこそ大人だと言うなら、クソ食らえですよ。
木村― ええ、ほめ言葉だと思いますよ。逆に言うと、大人になるということは取り込まれていくということじゃないですか。
田中― そうなんです。
木村― これからもそういう大人になれない60歳、70歳でいらっしゃるんですかね。そうであってほしいですね。
田中― よくみんなが「遊び心を忘れない」とか「少年の心を忘れない」のがいいとか言うんだけど、本当にそう思うんだったら、ミニカーを集めるだけの少年の心を忘れないだけじゃだめで、本当に子どもの「なぜ?」「なに?」「なんで?」っていうことも忘れないでいてほしい。やっぱり子どもに説明できないことをしてちゃいかんのじゃないのかっていうことなんですよ、私の根底はすごいシンプルで。それを大人になれないって言うなら、しようがねえなって。
でも、そういう私だから期待する人もいるのかもしれないし、そういうおまえがボカボカになっていくまで、観客として見たいという人もいるかもしれないけど……
私は、自分にストレスがないように生きたいんですよ。
木村― そうでしょうね。
田中― でも、それは「楽したい」ということじゃないんですよ。知事のときには指のアトピーがひどくて、ネクタイを結ぶとシルクがざらざらになっちゃったんですよ。知事じゃなくなったら、三週間ぐらいで全部消えましたからね。でも、そのアトピーは私にとってはつらいことでもなくて、逆に言えば、それだけおまえの言うことが都合の悪い人もいるんだろう、と。でもその分、期待してくれる人もいるんだということですね。
この間、アル・ゴアの『不都合な真実』という映画を観たんですけど、「自分の考えを理解させるんじゃなくて、人を信じて、語って、人に気づいてもらうということなくして、政治もないし、人生もない」みたいなことをゴアがかっこよく言うけど、私も及ばずながらそんな思いですね。
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