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銀座くのや

江戸の粋と伝統を軽やかに伝える

春らしい爽やかな色合いの帯揚(おびあげ)と帯〆(おびじめ)。冠打(かんむりうち)帯〆6825円 段織帯揚5775円 足袋2940円 今年で創業170年となる銀座くのや。江戸末期、天保8年(1837年)に、日本橋の久野屋善助から暖簾分けをゆるされ、糸物問屋「久野屋菊地利助商店」として、現在の銀座5丁目、みゆき通りに創業した。大正12年(1923年)からは、現在の地に小売部の店舗を構え、和装小物の専門店として歩んできた。その歴史は、樋口修吉著『東京老舗の履歴書』(中公文庫)でも綴られている。現在の社長の菊地健容氏は八代目である。
 もともと糸物問屋であったことから、帯〆(おびじめ)や羽織紐など、年季の入った職人衆がつくる組紐(くみひも)が、くのやの本領だ。
 歌舞伎界をはじめ、目の肥えたご贔屓筋をたくさん抱えた名立たる老舗、さぞかしお値段のほうも……と思いきや、意外にもリーズナブルで一気に親近感が湧く。専門店として商いをするからには、百貨店よりも高くてはいけない。けっして安物は扱わないが、高ければいいというものではない、というのがポリシーなのである。
 銀座の表通りの店は、一年に一度のお客様も、一生に一度のお客様もいらっしゃるのだから、敷居を高くしてはいけない、という七代目・菊地泰司氏の考えが、店舗にも反映されている。昭和52年に建てられた店舗ビルは、建築家・黒川雅之氏が設計したコンクリート造のモダンな建築だが、よく見ると舗道の敷石と同じ石が店舗まで敷かれ、視覚的に「敷居の低さ」を表現している。また、入口が正面にひとつではなく、左右に二つあるのも、お客さんがふらっと気軽に出入りしやすいように、という配慮から。

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