今年は桜の時期に、上野公園へ視察に行った。酒もちょっと口にしたので、実質的にはお花見なのだけど。でも一面では取材であって、仕事である。
このところM新聞の夕刊で、週に一回散歩の記事を書いている。散歩だから、じつに楽しい仕事だ。東京の、どこか思いついた町に行って歩いてみるわけで、写真はプロのカメラマンが担当。こちらは気の向くままに歩けばいい。それでおしまいなら本当に楽なのだけど、いちおう散歩のあと原稿を書かないといけない。まあこれは仕方のないことだろう。
で、せっかくの桜だからどこを散歩しようかと考えて、結局上野公園にしたのだ。千鳥ヶ淵とも思ったが、あそこはそれこそ桜だけだ。上野公園なら桜のほかにもいろいろオマケの場所があるので、固まらずにすむ。
上野ではスタッフがシートを敷いて、ビールで乾杯、チーズかまぼこを食べたりして、これはもう完全なお花見だ。この散歩のページはリアリズムなので、お花見となればやはりお花見をしないといけない。リアリズムって、いいですね。
お花見は満開の桜を見て味わうこと、別に酒はいらない、という正論があるかもしれない。正論って、嫌ですね。お花見というのは科学観察じゃないんだから、やはりちょっと頬を桜色にして、トイレに行くときなどちょっとよろけたりしないといけない。
ぼくが行ったのはまだ満開ではなく、やっとどの樹も咲き揃いはじめたというところで、三月の終り。それも昼間。それでも上野公園の例のメインの通りでは、ほとんどのところにシートが敷かれて、半分はもう宴会をやっていたけど、半分は夕方の本隊到着に備えての席取りだった。
そういえばホームレスがいないなと思った。この時季には、花見の人出がどっとあるので、場所を譲るのだろうか。もっとも上野公園のホームレスは、お花見のメイン通りには少なく、むしろ芸大に抜けて行く方の公園部分に根を張っていたような気がする。しかしホームレスはホームがないのだから、お花見だからといって場所を譲ることはないだろう。
そんなお花見から帰って2、3日後だったと思うが、最近ホームレスが減少傾向にあるという記事が出ていた。ふつうだったら見逃すだろうが、たまたま上野公園で、ホームレスがあまり見えないな、と思ったあとなので、その記事が妙にくい込んできた。何か少し世の中の流れが変ってきているのだろうか。
球場をぎっしり埋める人々
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