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ルパン

文豪たちが愛した止まり木は健在

写真1:夕暮れの銀座の路地に、怪盗ルパンの姿が浮かぶ。 写真2:林忠彦さんの有名な写真が鎮座する。左から織田作之助、坂口安吾、太宰治 写真3:バラ色のカクテル、ジャック・ローズ一六八〇円。 写真4:ソファ席には藤田嗣治の絵が飾られている かつては文藝春秋の本社ビルが隣にあり、開業にあたり、文藝春秋の社長だった菊池寛をはじめ、里見弴、泉鏡花、久米正雄らの文豪たちが支援した。以来、多くの作家と編集者がこの店に集った。永井荷風、直木三十五、川端康成をはじめとする文壇、藤島武二、東郷青児、岡本太郎といった画壇、演劇界などの文化人たちが日夜、この店に寄って交流を深めていった。編集者と作家の打ちあわせの場所であり、大事な社交場でもあった。まさしく文壇バーの元祖だった。戦時中は、洋風の名前が禁止されて、「麺包亭(パンテイ)」と改称したことも。
 バー・ルパンといえば、ここで撮影された無頼派の作家、太宰治、坂口安吾、織田作之助のポートレート写真がよく知られている。撮影したのは、写真家の林忠彦。座っている太宰の全身像をアングルに収めるため、どんどん後ろに下がり、トイレの中から撮影したというのも有名なエピソードだ。
 パリで活躍した画家の藤田嗣治が、昭和4年の帰国時、店にふらっとやってきて飲みながら描いて置いていった絵が、さりげなく壁に飾られている。
 創業者の高崎雪子さんは、銀座の有名なカフェー「タイガー」で人気を博し、自らもルパンを開業した才気ある人だった。弟の武さんが昭和26年からバーテンダーをつとめていたが、80歳を過ぎて、最近は店に姿をあらわすことはまずないそうだ。
 そして実はこのルパン、現在では意外にも女性客が多いのだ。太宰や安吾に憧れる文学好きのみならず、レトロな雰囲気が好まれ、銀座のバーにしてはリーズナブルな価格もあって、女性が安心して通える店である。
 坂口安吾が好んだのは、ゴールデン・フィズ(1365円)だった。
 今回はお願いして、女性向きのカクテルをつくってもらった。バラ色に輝くジャック・ローズは、リンゴのブランデーであるカルヴァドスに、ザクロのジュースとシロップ、レモンとライムのジュースを加えた爽やかな甘さ。ザクロには女性を美しくする成分が豊富。男性にエスコートしてもらうのもいいが、女性同士でバーに集うのもまた楽しいことである。

ルパン
中央区銀座5-5-11 塚本不動産ビル地階
電話◎03-3571-0750
営業時間◎17:00~23:30(L.O.23:00)
定休日◎日曜・祝日、月曜日(祝日のある週は営業)
年末年始・GW・旧盆期間など休業あり。
チャージ735円

撮影=宮坂恵津子、取材・文=平林享子

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