金融に関する連載と聞くと、多くの方は投資に関すること(お金を増やすための知恵)を想像されるのではないでしょうか。残念ながらこの連載は、得するための金融情報ではありません。得するためではなくて、楽しむため(エンターテインメントとして)の金融がテーマです。もしかしたら、楽しんだ結果として儲かることがあるかもしれません。でもそれは、あくまで結果であって、本連載の目指すことではありません。
おいおいお話ししていきたいと思いますが、そもそも「得する金融」は金融の一部でしかありません。といってこの連載は、大上段に金融とは何かを論じようというのでもありません。目指すところは、すでに申し上げたように金融を楽しむこと。その楽しみ方として、(1)金融を観ることの楽しさ、(2)金融を知ることの楽しさ、そして、(3)金融を想うことの楽しさ、を取り上げたいと思っています。
今回は連載第一回ということですが、このような連載を書くことは、実は私にとっても初めてのことです。そこで、最初に簡単な経歴を記します(どこの「馬の骨」か、の紹介です)。私のベースは流体力学です。周りは金融の専門家として私のことを見ているでしょう。でも、自分では流体力学の研究者だと思っています。流体力学はとっても面白い学問で、とっても応用範囲が広い研究分野です(この連載は金融についてのものですが、節々で流体力学のことを書いてしまうかもしれません)。大学では流体力学を専攻していましたが、縁あって米国系証券会社に就職しました。その当時(20年程前)、理系の学生が日本の金融機関に就職すると多くはシステム開発者として働くのですが、私の場合はトレーディング部門に配属となりました。バブルの絶頂期から10年ほど、実際のマーケットで日本株を中心にトレーディングをやっていました。その間、アジアブームの時期はアジア株の営業をしたこともあり、とっても有意義な時間を金融の最前線で過ごしました。
その後、10年を一区切りと考えて、博士号を取得するために大学院へ戻りました。戻った先は流体力学の研究室でしたが、これまた縁あって、金融を研究することになりました。私の博士論文(国会図書館にあります)は「流体力学を使った金融に関する研究」です。多分、日本の大学の機械系学科(流体力学は大概、工学部機械工学科に属しています)で金融に関する研究をしている人はいないでしょう。日本でも理工系学部で金融の研究をしているところはありますが、一般にそれは管理工学(オペレーションリサーチ)や数学科です。しかし米国や欧州では、流体力学による金融研究という取り組みは珍しくありません(後でも記しますが、日本でも最近、物理系学科で金融を研究する動きが出始めています)。ある現象が、なぜ、どういうメカニズムで起きるかを調べるという観点からすれば、私は機械工学(メカニカルエンジニアリング)で金融を調べるのはとっても自然だと思っています。大学院で博士号をとった後、金融の研究で生計を立てています。以上が私の簡単な経歴です。
その1 まずは自己紹介から
尹 煕元(ユン ヒウォン)
![[ファイブエル] 団塊世代のエンターテイメント誌 Entertainment Premium Magazine](/img/header_title_in.gif)



![[ファイブエル]バックナンバー](/img/side_backnumber.gif)