ブラザース・フォアは結成されて以来、半世紀近くも活動を続けている。オリジナル・メンバーはリーダーのボブ・フリックが残るのみだが、絶妙な4人のハーモニックは歌声に加え、そのスピリッツも確実に受け継がれている。歌い続けて半世紀になる曲もあるわけだが、4人それぞれのお気に入りの曲を訊くと……。
マイク ボクは「ラ・マンチャの男」だね。すごく歌のフィーリングがいいし、ブラザース・フォアというグループの持っているイメージがこの歌にすべて入っていると思うんだ。この歌を歌うと、グループとしてひとつになって、優しさと力強さが表現できていると感じるんだ。
ジョン ボクはグループに入って4年になるんだけれど、60年代からずっとブラザース・フォアのファンだったんだ。その頃から「グリーンフィールズ」がずっと好きで、自分が歌うようになってからも、その気持ちは変わらない。
マーク 「トライ・トゥ・リメンバー」という曲がすごく好きなんだ。世の中はすごいスピードで移り変わっていくけれど、そんななかで振り返ることは大切だというメッセージがある。いまの自分の気持ちが表現されていると感じるんだ。
ボブ 「グリーンフィールズ」「グリーンスリーヴス」、この2つのグリーン・ソングスが気に入っている。この2曲はブラザース・フォアにとって、とっても意味のあるものだからね。ボクたちの音楽の原点みたいな曲だと思っている。それに、スペシャルに好きな曲というのは、「花はどこへ行った」。この曲は人間の持つ繊細な感情みたいなものを歌っているのと同時に、平和をテーマにしているからね。そういう意味で、ボクにとって、すごく特別な曲になっている。
ブラザース・フォアをはじめ、モダン・フォークの新しいところは、平和をテーマにするなど、ポリシーが感じられるところだった。ファッションもアイビー、ボタンダウンのシャツにチノパン、ローファーというトラディショナルにしてモダンなスタイルからは、どこか知性が感じられた。そして、それを着こなしている彼らは、アイビーのお手本にもなったのだ。日本のアイビーの代名詞、VANは56年に石津謙介が創業、ちょうどブームになろうとしていた。モダン・フォークが主張する「自由」は、そのファッションのポリシーを裏打ちするものだった。
ボブ 何か新しい音楽をやろうと思ったわけではないんだ。それまでのフォークソングが持っていたテイストやハーモニーとそんなに違うものをボクらは目指したわけではない。でも、とにかくラッキーだったんだと思う。ボクたちの歌を聴いてくれる人たちの関係から、ある意味、特別な感情が生まれていって、ポリシーみたいなものもできあがり、ボクらの音楽ができあがっていった。また、個性から音楽的な素養、才能、声質から何から、それぞれ違う4人だったということも、ラッキーだったと思う。意図的に新しい、特別な音楽をやろうというのではなく、自然にボクらならではの音楽をつくっていくことができた。だから、いまもこの4人で活動を続けられていることは、素晴らしいことだと思っている。聴く人たちは「真実」を知っているから、「嘘」や「ごまかし」は通用しない。「真実」を歌っていけるメンバーで活動を続けられていることも、すごくラッキーだった。

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