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髙橋洋服店

注文服の醍醐味は大人の男性にこそ

写真上:正統派のスーツに向くチョークストライプは品揃えが豊富。扱う布地は七割が英国製で、三割がイタリア製。 写真下:小学生の頃から「将来は洋服屋になる」と作文に書いていたという高橋さん。颯爽とスーツを着こなし、職人の技を伝える、若者からも憧れの存在。 戦前まで、洋服は誂えるもので、買うものではなかった。今では、洋服を誂えるというと「贅沢」なイメージもあるが、スーツは男性にとって武士の鎧のようなもの。もっと「武器」として最大限に活用すべきだと思う。
 「男性の服装は、ファッション(流行)ではなく、スタイル(生きる姿勢)」
というのが高橋さんの考え。とくに紳士服はすでに確立されたデザインなので、伝統をふまえた上で個人の好みやトレンドを反映するのが望ましい。
 誂える手順は、まず生地選び。採寸。ディテールの打ちあわせ。型紙を起こして裁断。約2週間後に仮縫いができあがるとフィッティング。ここで補正をして本縫いへ。約2週間後に完成品をお客様に着てもらって最終チェック。1着のスーツを作るのに、最低3回は店に足を運ぶことになる。
 熟練の職人がすべて手仕事で作った、世界にたったひとつの自分だけの服。消耗品ではなく、少なくとも10年は着られる人生の相棒としてのスーツは、物の価値を知る大人の男性にこそふさわしい。お客様には、親子4代にわたる創業以来のお得意様もいれば、髙橋洋服店で毎年1着スーツを作ることを楽しみにしている20代のサラリーマンもいるとか。
 銀座4丁目に生まれ、同じビルの中にある工場を遊び場にして育った高橋さん。大学卒業後、紳士服作りを日本の専門学校とロンドンの専門学校で学び、帰国後は、2代目である父の指導を受けた。最近では、後継技術者育成のため、注文紳士服の縫製教室も開設した。まさに和魂洋才。洋服という舶来品に魂を込める日本の職人の心意気がここにある。

髙橋洋服店
東京都中央区銀座4-3-9 タカハシ クイーンズハウス3階
電話◎03-3561-0505
営業時間◎10:30~19:00
定休日◎日曜・祝日

撮影=宮坂恵津子、取材・文=平林享子

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