「しゃあないな」とあきらめる。ぼくはあきらめるのが早い。あきらめる――自分にブレーキをかけることだと高名な精神科医が本にも書いてある。あきらめないというのは未練であり、執着だとも。
そのあきらめるは、「明らめる」で、物事の真理を明らかにするのが本来の意味。真理が明らかになれば、ごちゃごちゃ言ってもはじまらない。きれいさっぱりあきらめるにかぎる。
そのあきらめの反対ががんばるだ。イヤですね、ぼくは。「がん」は「頑」、すなわち「頑固」の頑。「頑な」の頑でもある。「ばる」は「張る」。意地や我を張ることだ。「相手が出てくるまで玄関先でがんばる」といった用い方となる。イヤですね、こういう生き方。
ですが、一人だけ許される人がいる。野球でデンと腰をおろしてその場を頑ななまでに守ることが義務づけられている人。そう捕手です。
がんばれ、タブチ! なんて。
がんばれ
(毎日新聞専門編集委員)
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