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アメリカの影

 それとともに、実力はそうは違わないんだということで、日本のプロ野球に関心が戻ってきているのではないだろうか。
 今年はジャイアンツが、まずまずの調子を出している。メジャーの影が薄くなったとすれば、そのことも関係しているのかもしれない。
 今シーズン、巨人に小笠原と谷が入団して、この二人の働きがぐっと巨人を盛り上げている。
 この二人が二番、三番となり、四番は李ということで、去年三番だった高橋由伸が一番バッターとなった。二岡は五番。
 高橋の一番というのが、いちばん意外だったが、でも驚いたあと、みんな「なるほど」と思ったのではないだろうか。
 三番、四番でないとすると、ほかにはまりようがない。というところから「思い切って一番」という形がおのずからできた。
 その一番高橋が、シーズン開幕の第一打席、その初球をいきなりホームランして、狙った以上の形が出てしまって、いきなり打線の奇蹟が実現した。いきなりこうなるということは、なかなかないものである。
 その例でいうと、シーズンが少し進んでのセ・パ交流戦。今年は四番の李がパッとせず、ホームランも少なく、打率も二割五、六分と低迷している。ここというところでの三振、凡打が多い。このままでは打線が腐ると思ったのか、李を六番に下げて、阿部を四番に持ってきた。
 なるほど、と思った。四番の李に覚醒を促すという意味では、一つ下げた五番ではなく、もう一つ後ろの六番だろう。それに阿部はどことなく重量がある。去年だったか一昨年だったか、「さよなら慎ちゃん」とあだ名されていたころの阿部の振りは、自信に満ちていた。だから変にほかを動かすよりは、四番阿部というのに、そのまま納得した。
 で、その四番の第一打席、初球、いきなりホームランだ。
 高橋の開幕初球ホームランを思い出した。いきなりのこれは、何かちょっとしたものを感じさせる。ちょっとした、何だろうか。
 これもプロ野球の空気の盛り上がりの一端であることは、確かだろう。
 とりあえず巨人は首位を確保していて、しかし現役の野球について書くことは、雑誌が出るときとのギャップがどうなるのかわからないものだが、そういっていてはいつも書けないので、いま書くわけである。

赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

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