トニータナカ、57歳。
一躍時代の寵児となったメイクアップのカリスマはいま、
経験を糧に美と健康の統合に意欲を燃やす。
トニータナカ
50代こそ美しい
ビューティディレクター。トニーズコレクション代表。1948年、東京生まれ。国際文化学園美容部卒業。20歳のとき、日米合作映画でメイクアップを担当するために渡米。本場ハリウッドでビューティメイクと特殊メイクを経験するとともに、その技術で世界に「トニータナカ」の名前を知らしめた。複合型ビューティサロンやスクール経営、ホリスティック美容・健康法の普及活動、ウェディングのプロデュースなど幅広く活躍。女優や国内外のセレブリティのパーソナルメイクも行なっている。
トニータナカの登場は、まさに日本の美容界にとって激震だった。毎日のようにテレビに登場し、華麗なメイクアップで女性たちを魅了した彼は、それまでの「化粧」の概念を変えてしまった。映画のメイクアップ・アーティストとしてハリウッドに渡り、特殊メイクを学び、日本に戻ってからの華々しい活躍ぶりは、ご存じの通りだ。そんな彼も、すでに57歳。
「ラジオを聞いていたら、『初老とは何歳ぐらいなのか?』というテーマで話をしていました。その番組によれば、なんと45歳から50歳までが初老、50歳以上は老人だという。僕の周りには、60歳を過ぎたロックンローラーもいるし、社長や俳優業をやっている友人たちは現役でバリバリに働いている。あまりに現実にそぐわないその決めつけに、いささか驚きました(笑)」。
仕事で世界中を飛び回るトニーさんはさらに続けて、ヨーロッパで感じる大人の文化について語った。ジャズクラブやライブハウスは若者のためにあるのではない、60代、70代の人たちが音楽を楽しみに集まってくる。しかも、みんなかっこいい。しかし残念ながら日本では、音楽も「美」も、文化は若い世代に属している。
「ビバリーヒルズの美容室に行ったときのことですが、アクセサリーをたくさん身につけた50代、60代のご婦人たちが、目を輝かせながらネイルケアをしている姿を見たんです。素敵でした。大人のパワーを感じましたね。たびたびそういうシーンに出会うことで、歳をとることが怖くなくなりました。恐れるのではなく、かっこよく歳を取ればいいだけのことだから」。「どうせ歳だから」というあきらめがいちばんよくない、とトニーさんは言う。
「夢や希望に向かって一心不乱に走っていた若いときは、知恵も少なければ、能力も少ない。歳を重ねると、それまでの経験から、自分を客観的に見つめられる心の余裕や落ち着きが出てきて、物事の判断ができるようになる。本物を見る目が培われ、そこに健康が、つまり肉体的な若々しさが加わり、かっこよさが備われば、それは相当かっこいいし、僕はそうなりたい。そういう高齢者が増えれば、日本の文化ももっと深みが出てくるのではないか。もちろんそうしたパワーを維持するには、いわゆる美容以外のものも必要です。というよりむしろ、美容とは食生活、睡眠、運動が相俟ってひとつのリズムをつくりだすことにあるのです」。
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