【今回のルート】
ヒルズ(銀座三越)→中央通り→一丁目交差点→四丁目交差点→晴海通り→並木通り→交詢社通り→みゆき通り→ソニー通り→花椿通り→金春通り→そば所よし田
梅雨入り前の蒸し暑い東京・銀座。
三越の2階にあるカフェ「ヒルズ」で待ちあわせ。四丁目の交差点を一望できる窓際に陣取り、外国人観光客のグループに負けじと、パシャパシャ写真を撮っているのは、われらがアラーキー。
「横断歩道で、あっちから来る人と、こっちから行く人の、ぶつかったところが東京っていうかさ。その混ざり合うところが好きだね」
外国人、お年寄り、有閑マダム、サラリーマン。いろいろな場所から来た、いろいろな人がすれ違うキングオブ交差点を、1時間ほど熱写した後、いよいよお散歩をスタート。
まずは銀座のメインストリーム、中央通りを銀ブラする。
荒木さんが撮る。その荒木さんを道行く人たちが携帯カメラで撮る。「いま、目の前をアラーキーが歩いてる!」と電話で実況中継する人もいて、アラーキーこそ「東京名物」なのだと感じ入った。
つぎつぎとブランドショップがオープンし、とどまることなく変身をとげる銀座。工事中のところもチラホラ。
「工事中は情事中」
と、工事現場に写真欲を刺激されるアラキ・カルティエ=ブレッソンであった。
銀座一丁目の仮囲いに巨大な赤ちゃんを発見。すぐ隣はウェディングドレス屋で、向かいは仏壇屋という冠婚葬祭業の連携プレーに、人生の縮図をかいま見た。
再び四丁目の交差点に戻る。大きな花束を抱えたおじさんに遭遇し、「銀座には花束がよく似合う」とつぶやく巨匠。「富士には月見草がよく似合う」と言ったのは太宰治だが、太宰が通ったバー「ルパン」に、荒木さんも若い頃、よく訪れたとか。ルパンのある路地もパチリ。
「路地裏をアッジェするゾ!」
アッジェの撮ったパリもステキだが、アラーキーの撮るトーキョーもイイ!
同じ銀座でも八丁目の裏通りを歩くと、街の匂いがガラリとかわる。夕刻には、酒屋の配達の荷台がいそがしそうにゆきかい、通りが開店前の準備で活気づく。
どこかの仲居さんだろうか、着物姿の女の子が、小さな鉢植えに水をやっている。なんだかほのぼのするひとコマ。
「裏通りには、妙なロマンがあるね。ずっと見てればさ、意外な素顔を見せてくれるんだよ。いい女と同じだね」
本日のゴールは、「そば所よし田」。ご近所の旦那衆や、同伴出勤前のひとときとおぼしき粋なお姐さんの姿も。まずは奴でビールをキュッと。名物の「コロッケそば」も乙な味。
日も暮れて、足は自然に銀座の動物園ことクラブ「早苗」へ。夜の蝶というより夜の妖しいアニマルたちがお出迎え。通りすがりの女の子を見そめた荒木さんは、早苗に同伴。聞けば、「喪服ちゃん」という名前で活動する新進アーティストで、西新宿の遊郭だった家に、男女六人で同居生活中だとか。それは家庭訪問しなくては。人の出会いは風の向くまま、ふしぎな縁は数珠つなぎ。というわけで、次回は新宿歩きとあいなります。

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