残るは農業です。農業が因縁果報だというのはとってもわかりやすいですね。種という原因があっても、雨が降ったり日が当たったりしないとよく育ちません。縁に恵まれなければ実を結びません。そして、よく育ちという結果に恵まれても、育ち過ぎて繁殖すると環境が変わり、ともすると自分たちの首を絞めてしまう報いを受けることがあります。また、植物が虫や鳥たちによって、受粉したり、種を運んでもらったりしている事実を考えれば、縁(環境)と報(環境に及ぼす影響)がどれだけ重要なことかがわかると思います。
その3 金融、医療、農業の関係
尹 煕元(ユン ヒウォン)
農業の因縁果報
研究分野の共生と融和
研究者の視点から共通点を見いだせれば、研究成果を役立てる幅がぐっと広がります。例えば、金融を分析して得られた結果がヒントになって医療技術が進歩したり、農作物の効率的な栽培法が金融の最適化に役立ったり。まさに報ですね。
これまでは、いろいろなことを細かく調べる時代でした。研究分野の数はどんどん多くなり、ともすると自分の専門以外はわからないということが当たり前のような感覚にとらわれてしまう時代になっています。金融政策の中心人物(専門家の中の専門家)である中央銀行の総裁が「私は株の素人だから」と発言したことは、まさに専門主義の弊害の象徴でしょう(日銀総裁がインサイダー取引に関わった村上ファンドに投資していたことを質問されたときの答えとして)。これからは、細かく分かれた研究成果を、広く集めて組み上げ、役立てる時代になるでしょう。むしろ、そうならなければなりません。
分野を超えた議論をするときに、細かいことにこだわる必要はありません。実際に金融と医療と農業を研究するときも、その根本的な取り組み方が似ていることを感じながら論を尽くせば、新しい発想が創発します。そして、その創発のメカニズムと仏教の思想に通じるところがある。それが、金融や医療や農業の研究のとっても面白いところです。
21世紀は、様々な研究分野が共生し、融和する。そんな楽しい時代なのです。
尹 煕元(ユン ヒウォン)1964年、韓国大邸市生まれ。研究者。ソロモンブラザーズ証券会社にて、自己売買部門のトレーディング、アジア株の営業に従事。1999年、母校慶應義塾大学大学院へ戻り、工学博士号を取得。現在、研究のビジネス化に取り組んでいる。
![[ファイブエル] 団塊世代のエンターテイメント誌 Entertainment Premium Magazine](/img/header_title_in.gif)



![[ファイブエル]バックナンバー](/img/side_backnumber.gif)