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檜垣誠司

斬新な経営改革を進めている りそなホールディングス新社長

変化を楽しむことが大切だ

 「銀行は全国一律で、同じことをやっていました。しかし、小売業は商品から営業時間まで、地域によって変えている。例えば、スーパーは駅前店と郊外店では営業時間を変えているし、コンビニは出店の地域に高齢者が多かったら、ローカロリーや減塩食品の品揃えを厚くする。また、地元の小中学校の運動会などの日程もわかっていて、それによって弁当やおにぎりの仕入れも変えている。企業系列はあっても、それと関係なく、売れ筋商品をいい棚に置いています。正しく顧客に向かっているわけで、我々が向かうべき方向も同じだと思うんですよ」
 融資業務のプロフェッショナルとして、企業再生を担当してきた檜垣社長。経営陣に加わり、りそな銀行、りそなホールディングスに他社から招かれた社外取締役たちに、教えられることが多かったという。
 そして、「ライバルは小売業」という斬新な経営方針が固まっていった。
 「日本の社会の歴史、文化に根づいた市場、システムをアメリカンスタンダードにする必要はないと思います。ただ、変えるべきことは変えていったほうがいい。毎日、同じ仕事をしていたほうがラクだけれど、変える方向へチャレンジしていくことは面白いし、意義がある。失敗しても、前向きな努力をしていることを評価する企業文化が必要なんですよ。そのためにも、従来、銀行の組織は中央集権型でしたが、小売業のようにボトムアップできる、地方分権、地域への権限委譲、組織のフラット化を進めています」
 檜垣社長がよく口にする「ダイバシティ(多様性)・マネジメント」。性別、年齢にこだわらず、有能な人材確保のために、オープンな組織をつくろうという考えだ。檜垣社長は、職制上の上下関係、年齢、性別、雇用形態に関係なく、顧客を頂点と考えた、多様性に溢れた企業経営をしていこうとしているのだ――ただ、言葉で言うのは簡単だが、経営はもとより、日常業務、人事制度まで、さまざまなシステムの大変革が伴うだろう。
 「サラリーマンはポストを求めて、昇格していくことが人生モデルになっているところがありますよね。しかし、そうやっていくと、上司の顔色や考え方をうかがうことに気持ちがいって、結果、それが仕事になってしまう。また、ポストは限られているので、そのポストに就けない人間は不満を持つことになる。そういうことでは、やっていけないと思うんです。仕事をポストではなく、ミッションで考える。そうすれば、これまで以上の充実感、達成感、やり甲斐が得られるはずです。まず、そういう意識改革から、すべてが始まっていく」
 「ボク自身は、変化を受け入れやすい性格なのかもしれません。たぶん、変化に抵抗を感じる人と、あまり感じない人がいると思うんですが、50歳を過ぎても変われる人と、30歳くらいでも変われない人もいる。ダイバシティ・マネジメントの話をするときに、よく若手の活用というテーマが出てくるけれど、年齢は関係ないと思うんです。その人の属性に関係なく、柔軟な考え方ができるかとか、成功体験を引きずらないとか、常に挑戦をしていく気持ちが大切ですからね」
 高校時代はサッカー部で汗を流し、いまもサッカー観戦が趣味。そのため(?)、りそなグループの経営をサッカーに喩えてこう言う――りそなホールディングス経営陣はグループ銀行のサポーターであり、グループ銀行の社長は支店長のサポーター、そして支店長は現場第一線で働く社員のサポーターである、と。
 「企業文化として上下意識が残っているので、実態はまだまだですけれどもね。また、リスク管理や資本のコントロールなど、りそなホールディングスが中央集権的にやらなければならないこともある。しかし、現場が基本であり、現場の人間がその局面、局面で的確な判断ができなければならないし、その権限を持つことが大切なんです。野球だったら一球一球、ベンチから指示が出るけれど、サッカーはピッチに立つ選手一人ひとりが、その局面で判断していかなければならない。そういうことを支援する意味で、ボクたちはサポーターに徹したいんです」
 りそなグループでは、03年10月以降、普通の銀行のように「当行」「頭取」「行員」という言葉を使わず、一般企業と同様に「当社」「社長」「社員」と言っている。銀行ではあるけれど、従来の銀行ではない――そこにも決意表明が見える。

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