「りそなホールディングスの社長と、りそな銀行の社長はどちらが偉いのかと、よく聞かれるんですが、そんなことを言われても困るんですよね(笑)。どちらが面白い仕事かと聞かれたら、銀行のほうだとボクは思いますが、それは役割、ポジションに過ぎないからです。また、視線が仕事、顧客に向かうようになり、社長が偉い、支店長が偉いという企業文化はだんだんなくなってきています。うちでは『サッカー型の経営』を目指していて、サッカーでポジションが必ずしも固定されないように、ディフェンスがオフェンスに回ることもあるし、その逆もある。全員で守る場合もあるし、攻撃することもある。ただ、基本的にはボクはディフェンスであり、当面はグループ銀行の社長たちに思いっきり攻撃をやってもらいたいと考えています。ディフェンスをしながら、サポートしていきたい」
その結果、現場は活性化しつつある。
例えば、「REENALプロジェクト」。「REENAL」はりそなの「RESONA」(ちなみに、由来はラテン語「Resona=共鳴する、響きわたる」)と「REGIONAL=地域」を組み合わせた造語だが、りそな銀行が中心となって、他企業や地域とのコラボレーション企画を展開していこうというものだ。
「REENALプロジェクト」の具体例としては――大阪・北区で、地元のNPO法人や大阪市立大学商学部と「天神橋商店街まちおこし共同企画」を展開、大阪唯一の寄席・天満天神繁昌亭のサポーターズ倶楽部「百天満天百」を発足……その他、各地で地域活性化に取り組んでいる(詳細は、http://reenal.net/を参照)。また、関西大学、立命館大学、埼玉大学、東京工科大学、東京農業大学、神奈川大学ほか、地元の大学と産学連携を積極的に進める。その成果として、東京工科大学と学習ゲーム「小学生向け金融経済eラーニング教材」などの共同開発もある(子供向け金融経済教育サイト「りそなキッズアカデミー」http://www.resona-gr.co.jp/academy/elearn/で公開中)。
「銀行は、地域でいろいろな役割を果たせると思うんです。場所も提供できるし、会社や商店のコンサルもでき、ネットワークもあるから人材も紹介できる。地域が地域を活性化させていくことができれば、銀行も活性化できます。もともと地元のお客様、地域を大事にする、地域密着の企業文化がありますが、今後、さまざまな展開が可能だと考えています」
りそなグループは営業時間の延長、りそなダイレクトをはじめ手数料の見直しなど、顧客サービスの充実を進めてきたが、檜垣社長の社長就任以降、矢継ぎ早に新しい施策を発表している。
まず、グループ銀行の本支店にあるATMの時間外手数料の無料化。ATMで平日の早朝や夜間、休日に、入出金、振り込みをすると、105円の時間外手数料が必要だったのだが、11月からは無料になるのだ。しかも、りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行のキャッシュカードを持つ1500万人の全顧客に適用。これは大手銀行初のサービスである。
また、サークルKサンクスと提携して、近畿二府四県の「サークルK」「サンクス」のATM未設置店舗に、来年2月以降、自社ATMを設置、利便性の向上を図る。
今年12月からの保険商品の銀行窓口販売全面解禁に向け、第一生命との資本・業務提携も発表。業績も好調、公的資金の完済に向けて動きが加速してきた。
「ただ、すべてが顧客至上主義というか、お客様にとって、何が望ましいかという判断からなんです。保険でも、お客様にとって望ましい保険商品を開発してくれるところと提携しようということです。そういう基本が、まずある。今後もお客様にとって必要な機能があれば、積極的に取り入れていきたいし、さまざまな会社と提携していくつもりです」
檜垣社長が目指す、「日本で唯一の金融サービス業」――その全体像が、だんだん見え始めてきている。
それは、りそなグループだけでなく、利用者である私たちにとっても、“銀行の理想の姿”であるような気がする。
取材・文=羽柴重文(編集企画室Over-All)、撮影=矢木隆一(ZIP)
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