テレビで競馬中継を見ていると、目の部分に覆いをした馬がいる。遮眼帯と呼ばれるもので、後ろから来る馬に気をとられたり、恐れたりして集中力を欠くのを防ぐためだという。
馬の目は顔の横についていて、視野が広く約350度にわたって周囲を見渡せる。つまり、後ろ10度を除いて何でも見えてしまう。だが、視野の広さは時としてマイナスにもなる。視野が広いために、横や後ろにいるライバルが目に入り、気をとられてしまうからだ。そこで遮眼帯をつけ、視野を制限することで競争に専念させようということになる。
また時には、シャドウロールという下方向を見えなくする装具を付けることもある。これも同じように自分の影や物影を怖がる馬がいるため、下方への視界を遮る目的で使用される。好奇心が旺盛で、他に興味を移していては、競走馬としての使命を果たせない。ゴールという目的を確定し、集中力を発揮させるために外界を遮るわけである。
そんな競走馬の姿を見て、時に切ない思いにかられたりもするのだが、よくよく考えてみれば、我々人間も目に見えぬ遮眼帯をはめられて生きているのかもしれない。脇目もふらず「いい学校」や「いい会社」に入り、「いい人生」を目指すという生き方は、競走馬と何ら変らないような気もする。自らのアイデンティティを、所属集団のカテゴリーに委ね、ゴールを目指すという点では同じことだ。
ところで、人間の視野というのはどれくらいあるのだろう? 左右方向の視野は、片目それぞれ約160度、両目では約200度くらい見えるといわれている。犬が240度、猫が180度といわれるから、人間は犬と猫の間ということになる。思ったよりも広い。
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「遮眼帯」を外してみよう
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