ようこそ ゲストさん [ログイン]


トップページ > バックナンバー > トーキョー・アルキ 荒木経惟 > 

  • 印刷
  • 大
  • 中
  • 小

第3回 西新宿界隈

【今回のルート】
パークハイアット東京→洗濯船@西新宿→十二社通りの西側→熊野神社前交差点→公園通り→青梅街道→伊吹→花車

今回のルートの地図

 西新宿はパークハイアット東京の41階にあるピークラウンジで待ちあわせ。ここから見ると、ちょうどニューヨークのミッドタウンとダウンタウンのように、右と左で、街の雰囲気がガラッと違う。高層ビル群を横目で見つつ、われわれがめざすのは、十二社通りの裏手に残る古い街並である。
 「こっちはまるで爆撃を受けたみたいに、高い建物がな~んにもないね」
 本日は、前回の銀座歩きで知り合った女の子「喪服ちゃん」が男女6人で暮らす築40年の家を家庭訪問するため、西新宿にやってきたのであります。
 かくしてそこは、不思議ちゃんたちの巣窟であった。歌手、画家、写真家の卵もいれば、カレー屋さんも。
 「おお、洗濯船だ! この中からピカソが出てくるかな」
 20世紀初頭のパリ・モンマルトル。「洗濯船」と呼ばれる安アパートに大志を抱いて集まった芸術家たちがいた。この西新宿の洗濯船からも明日のスターが登場するかもしれない。ビバ、ニート!
 「才能はどんどん出さないと、便秘になっちゃう。アートはゲリラでなくちゃ!」
 いつもゲリ腹をかかえる巨匠は、彼らに成功の秘訣を伝授するのであった。
 うら若き妖艶なガールズと出会ってしまったアラーキー、もはや彼女たちと離れがたく……。
 「連載タイトルを「トーキョー美女アルキ」に変更しよう!」
 と宣言。ガールズと一緒にお散歩を続行。この先どうなるのかわからないのが、このトーキョー・アルキのいいところ。
 十二社通りの西側のあたりを歩く。
 「好きだなあ、この通りは」
 かつてここには、この地を開いた中野長者の娘が、蛇に変身して身を沈めた十二社の池があった。江戸・明治期には、池のまわりに料亭や茶屋が並ぶ一大歓楽地として栄えたのも夢の跡。戦時中に池は埋め立てられ、戦後はいわゆる青線として知られた。今でもこの界隈を歩くと、なんだか不思議な気配が漂ってくる。
 「風景画を描きたくなるねぇ」
 ユトリロはパリの街角を描き、アラーキーはトーキョーの街角を撮る。
 そしてここは野良猫がたくさん住む猫町でもあった。取り壊しを待つ家やアパートが目につく。早晩このあたりも、どんどんビルに変わっていくのだろう。
 それにしても今日はよく歩いた。新宿の大ガードを抜け、ゴールはすき焼き「伊吹」。生ビールにしゃぶしゃぶで乾杯。
 二次会は荒木さんの応接室ともいうべき「花車」へ、お嬢さんたちを同伴。歌舞伎町のすてきな夜は更けていった。
 さて、洗濯船でニートな青春を謳歌する若者たち、きけばもうすぐ本郷へ全員で引っ越すとか。追っかけようぜ! というわけで、次回は文豪たちが愛した街・本郷へ、アラーキーがゆく!

「今回のタイトルは「トーキョー美女アルキ」でいこう!」

トーキョー・アルキ 荒木経惟

一覧(13件)

ファイブエルストア

[ファイブエル]バックナンバー