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その4 投資と投機

尹 煕元(ユン ヒウォン)

何が投資で、何を投機と呼ぶべきか?

 1日という基準を設けて長期と短期を考えると、必ずしも長期が投資で、短期が投機とは思えなくなってきます。先に記した通り、投資には良いイメージ、投機には悪いニュアンスがつきまといますが、これは、投資が綿密な調査を背景にした行為であるのに対して、投機は突発的な行動として捉えられているからでしょう。また、投資が対象とする資産(例えば企業の株式)の本質的な価値を評価(ファンダメンタル分析と呼ぶ)するのに対して、市場の値動きのみを分析(チャート分析と呼ぶ)して売買する行為を投機的として忌み嫌う風潮があります。これには、昔、証券会社にいた相場師(自分の感覚で大きな資金を使い市場を動かす人たち)が、短期の売買を頻繁に繰り返していたことが影響しています。ところが、最近は、コンピュータの発達によって、短期売買であっても、高度な分析をしている人たちが増えてきました。ヘッジファンドと呼ばれる人たちやデイトレーダーたちは、短期間で売買を行う方が、リスクとリターンを考えて、割りが良いと判断している人たちなのです(ただしすべてのヘッジファンドとデイトレーダーが正しい計算や正しい認識をしているわけではありませんのでご注意を)。
 このような背景を考えたとき、みなさんは、ファンダメンタル分析やチャート分析といった分析手法に関係なく綿密に分析をしている人と、闇雲に長い期間、資金を抱えて、昔ながらのカテゴリーにこだわる人と、どちらにお金を託したいですか? じつは、その違いが投資と投機の違いに他なりません。

大事なことは――

 投資と投機は、どちらが良い/悪いという問題ではありません。金融市場で投機的な行動をとっても、経済に貢献していることにかわりはありません。ただ、自分の身の丈にあった行動をとること、そして、その行動が社会にどのような影響を及ぼすかを考えることが、自分にとても社会にとっても大事なことなのです。

尹 煕元(ユン ヒウォン)1964年、韓国大邸市生まれ。研究者。ソロモンブラザーズ証券会社にて、自己売買部門のトレーディング、アジア株の営業に従事。1999年、母校慶應義塾大学大学院へ戻り、工学博士号を取得。現在、研究のビジネス化に取り組んでいる。

ユン博士の金融流体力学

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