久し振りに「ひかり」に乗った。「のぞみ」が走るようになってからは、「ひかり」はとんとご無沙汰である。その「ひかり」がすっかりデザインが変っていて、以前に比べるとうんとスマートな流線型になっていた。もちろんスピードもアップしている。「ひかり」に乗車したのは、米原で乗り換えて福井県の芦原温泉に行くためだ。
先月、湯田中温泉に行くときは車窓から見た風景は田植えが終って稲の苗が青々していたが、あれから1ヵ月、ここ福井界隈の稲田は輝くような黄緑色に変り、なかにはすでに黄金色の稲穂が頭をたれていたりしていた。聞くところによると、あの有名な新潟米のコシヒカリはなんてことない、ここ福井の産だという。新潟にすっかりおはこを奪われた福井という県は何かにつけて宣伝が下手糞だという。それもこの県からは大臣が出ないので、なかなか要求が通らずに、いつも置いてきぼりにされているらしい。この県にはいろいろ名所があるにもかかわらず、それらが「福井県」と結びつかないのである。
そういえば有名な永平寺があるじゃないですか。その昔、ぼくはここで3日ほど参禅して、苦しい目にあったのに、ここが福井県だったとはすっかり忘れていた。また小説や映画・テレビなどでしばしば登場する東尋坊も福井県である。永平寺にしても東尋坊にしてもメディアでの露出度が高いにもかかわらず、福井県のアピールの仕方は下手というか弱い。だからかつての福井地震だけが有名になってしまっていて、「怖い」というイメージが先行しているように思う。コシヒカリを新潟に取られても、黙って見ているのは人が好すぎる。そこで今回の温泉紀行は、福井新聞社とタイアップして、福井をもっと全国的にアピールしてもらいたいということもあって、福井県の芦原温泉を選んだのであります。
芦原温泉駅に着いた時は、すでに午後の一時を廻っていた。とりあえず腹ごしらえと思って、タクシーの運転手に教えられたそば屋に行く。街には人の気配がないのに、このおそば屋は有名なのか、観光客らしい人たちでいっぱいだった。ぼくはうどんを注文したが、店が間違って余分にもりそばを持ってきたので3人で突っついて食べたが、1口、2口、3口ぐらいまでは「うまい!」と思ったが、4口ぐらいからだんだんパサパサになっていった。おそばはズルズル音を立てて行儀悪く噛まないで飲み込むようにして食べるのが通だというが、そうしないと味がみるみるうちに変ってしまうからだ。
あわら温泉
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