仕事柄、「クルマはナニに乗られているんですか?」と訊かれる。その答えは「ベンツとポルシェとジープです」。すると、たいがいの人はわかったようなわからないような顔でうなずく。「そうですか~」と……。
この仕事を何年もしているといろいろと知恵が付いてくる。どんなにレアでエンスージアスティックなクルマを所有していても、それが相手に伝わらなければ意味はない。会話の中の挨拶程度に訊いた「ナニに乗っているんですか?」という問いかけに、5分かけてクルマの説明をし、さらに5分かけてそれがどれだけ希少なものかを語ったところで、誰もほめてはくれないのだ。
実際数年前までとても珍しいクルマを所有していた。が、業界の大先輩ですら4年間乗ってもそのクルマの正式な名前をちゃんと呼んではくれない。オーナーとしてはじつに悲しい現実。それ以来、「わかりやすさ」というものがどれだけ大切かと悟った。その答えが、ベンツとポルシェとジープ。断っておくが、この3台はすべて90年代製の中古車。しかもそのうちの2台は二桁万円というシロモノ。けっしてモータージャーナリストは羽振りのよい職業ではないので、その辺はご了承くだされ。
さて、そんなワタクシがいまもっとも興味を持っているブランドがある。それがジャガー。ここんちもまた、ベンツやポルシェ、ジープ同様、ひとことで想像がつく「わかりやすい」ブランドだ。頭に浮かぶのは、ジャガーのオーナメントをボンネットの先端に付けた4ドアサルーン。いわゆるXJシリーズはジャガーの定番モデルであり、長年キープコンセプトのデザインで進化してきた。どこから見てもジャガーとひとめでわかるシルエットが特徴だ。と、ここでモータージャーナリスト的ワンポイント蘊蓄。じつはボンネット先端のオーナメントはオプション設定。というのも、例えば人と衝突した場合、それが怪我の度合いをさらに高める可能性があるからだ。つまり、ボンネットに突起物はないほうがいいという考えが今日的常識。がしかし、日本やアメリカなどではあれがないと売れない! というディーラーの要望でつくり続けているという。やはり「わかりやすさ」はここでもキーとなるようだ。
ジャガー
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