ようこそ ゲストさん [ログイン]


トップページ > バックナンバー > 赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み > 

  • 印刷
  • 大
  • 中
  • 小

ノーネームの不思議

 このところ、ノーネームということが気になっている。じつはフィルムカメラの一眼レフで、ノーネームの新製品が出るのだ。最初この話を聞いたときには、ふーん、と思うだけだったが、その思いが終わらずにつづいている。ふーん、しかし……、ふーん、だけど……、ふーん、という具合に、ちょっとした考えがいつまでもつづくのである。
 いま世の中は、ほとんどデジタルカメラに切り換わっている。フィルムカメラは次々と生産中止となって、新製品が出ることはまずない。そんな世の中に、あえてフィルムカメラの一眼レフが新しく出る。どうしても注目する。機構的にはとくに新しくはないようだが、ノーネームというのははじめて聞いた。
 ふつうカメラの一眼レフというと、頭のペンタ部の前、人の顔でいうと額のところに、キヤノンとかニコンとかのブランド名が刻まれている。それがない、つまりノーネームのカメラである。まだ手に取って見てはいないのだけど、何だか妙に新しい気がする。
 あ、ベンツだな、と思った車の頭に、例のベンツ印がなかったら、あれ?と思って車のテールを見る。そこにもベンツ印がなかったら、どうも気になって仕方がない。私、意外とブランドを気にする性なのだ。いや私に限らず、いまの世の人々はほとんどそうじゃないのか。
 ノーネームの商品では、だいぶ前から無印良品というのがある。ブランドを廃した、あるいは虚飾を廃したイメージで人気が出て、品揃えが広がり、海外でも受け入れられて、無印を略したムジという名で売れているらしい。
 現象としては興味深いが、こうなるとノーネームを意味する無印のムジそのものがブランド化した感じで、逆にノーネームの位置から少しずつ外れていく。人間というのはどうしても名前を欲しがるみたいだ。
 そんなことがずっと頭にあって、この間あるサークルで「名前の役割」という話をした。人の名は地名からきていることが多いが、でも地名が先にあったかというと、それだけでもなさそうだ。ある人が強くなって豪族にまでなると、その土地がその人の名で呼ばれるようになったりもする。その豪族が滅びたあとも、それは土地の名として残り、それがまたいつの間にか人の名になったりすることもある。


この記事の続きを読むにはログインする必要があります。
未登録の方は今すぐ会員登録をしてください(無料)

会員の方

ご登録のメールアドレスとパスワードでログインしてください。

ログインページへ

未登録の方

以下のリンクより会員登録をおこなってください。

会員新規登録ページへ


赤瀬川源平 世相真面目にななめ読み

一覧(25件)

[ファイブエル]バックナンバー