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第5回 佃島界隈

【今回のルート】
東京新阪急ホテル築地→聖路加タワー展望室→佃大橋→佃公園→石川島公園→住吉神社→天安

今回のルートの地図

 9月の昼下がり、築地にある東京新阪急ホテルのラウンジでアラーキーと待ちあわせ。おしのび密会が似合いそうな都会の隠れ場だが、われわれはすぐに隣のビル、聖路加タワーの47階にある展望室へ移動。ここからはウォーターフロントに林立するビル群を一望できる。しばし、大都会らしい眺望を楽しむ。
 「おお、佃島の男根たちよ」
 高層ビルを見ると、ついつい感嘆の声をあげてしまう巨匠であった。
 さて地面に降りて、お散歩スタート。佃大橋を渡って佃島へ。佃島は、江戸初期、摂津・佃の漁民が移住して開いた土地だという。震災、戦災をのがれたため、風情のある街並が残っている。
 掘割にかかる真っ赤な佃小橋と、その背後にそびえるリバーシティ21の高層ビルは、かなりシュールな光景だ。
 そこに通りかかったひとりの美女。佃島によく似合う、憂いを帯びたご婦人に声をかけ、モデルになってもらうことに。旅は道連れ、ここからは、またまた同伴散歩に突入する。
 それにしても、このあたりの公園はどこも大盛況である。活気のある公園というのは、見ていて気持ちがいい。
 「下町の子供は、元気があってかわいいね」
 さすが地元・三ノ輪の子供たちを撮った大傑作「さっちん」でデビューした荒木さん、ちびっ子たちが遊んでいるのを見るとひときわ目が輝く。
 男の子たちが集まってベーゴマかメンコか、と思ったら、コンピュータゲームだったのが、なんとも現代っ子。
 「公園って必要なんだね。みんな楽しそうだもん」
 赤ちゃんを遊ばせているお母さん方も、会話に花を咲かせている。
 佃公園は、そのまま隅田川沿いの遊歩道となり、石川島公園とつながっている。石川島公園の先端には、「パリ広場」と名づけられた空間が、ぽっかり空いていた。不思議な時間が流れている。
 「佃島に楽園あり、だね」
 たしかに子供たちが楽しそうに遊んでいる光景ほど、明るい未来を感じさせるものはない。
 ふと空を見上げる。
 「ずいぶん空が高くなったよ。もう秋だねえ」
 日が傾くのも早い。月島まで足を延ばす予定だったが、思いがけず佃島で、まったり長居をしてしまった。
 「まあまあ、人生そう焦らずに。きょうは佃を極めようぜ」
 創業天保八年という老舗「天安」で佃煮を買ったアラーキーは、美女とふたりで、夕闇に消えていきましたとさ。
 というわけで、次回は月島を歩きます。

「夏の終わり、佃島に楽園を見た」

トーキョー・アルキ 荒木経惟

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