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フォード・マスタング

 1964年、アナタにとってどんな年だったでしょう? 小誌の性格から想像するに、すでに社会人となり、所帯を持っていた方も多いのでは。高度成長期の最中、日々汗を流していたことと……。
 先日テレビCMでそんな昭和39年を紹介する雑誌の創刊をアナウンスしていた。東京オリンピックが行われ、東海道新幹線が開通したこの年は、戦後の日本を振り返る上でキーとなるようだ。ちなみに、僭越ながらワタクシはこの年に生を受けました……。
 さて、ここでフォード・マスタングの紹介となる。いまもってアメリカを代表するクルマのひとつに挙げられるマスタングは、じつはこの年に生まれた。1964年4月17日、それまで大きなボディのクルマばかりをつくっていたフォードが、ヨーロピアンナイズされたオシャレなクルマを世に送り出したのだ。
 その背景には、アメリカ国内におけるヨーロピアンライトウェイトカーの存在が大きく関与する。戦後GIがヨーロッパ大陸から持ち帰ったMGやロータスといった小さいクルマがじわじわと人気になりはじめていたからだ。そこに目をつけたのが、当時フォードの最高責任者だったリー・アイアコッカ氏。彼はマーケットのそんな傾向を読み取ると、コンパクトでローコスト、かつオシャレなクルマの開発に取り組んだ。それがこのマスタングである。
 みなさんの中には、このクルマを一度は所有した方もいるかもしれない。40余年ずっとつくりつづけていますからね。でも、多くの人は、きっとアメリカ映画でその存在を認識しているのではないだろうか。それこそ、スティーブ・マックイーン主演の「ブリット」なんて映画もそうだが、アメリカ映画の中で、正義感の強い主人公はマスタングに乗るというのが定番となる。コンパクトサイズだけど存在感があり、ヨーロピアンテイストのデザインはどこかインテリ風、年式によってはとてつもないパワフルなエンジンを持ちながら、つねに大衆車であることは変わらない……。なんてプロファイルがアメリカンヒーローにぴったり。いやはやわかりやすい。
 そんなアメリカ映画を多感な時期に観てきた者にとって、やはりマスタングは特別な存在。大型冷蔵庫に電子レンジが羨ましいと思えたスクリーン上の家のガレージには、マスタングとステーションワゴンという組み合わせが多かったと記憶している。
 では、マスタングの現代車両はというと、日本では昨年から新型モデルがフォード・ジャパンの手によって輸入・販売されている。しかも、そのデザインこそまさに現代版マスタング。デザイナーはそのシルエットやディテールを67年型からインスパイアされたと説明している。


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