そもそも国の借金(国債)は、政府が皆さんからお金を借りている状態です。このことを考えると、政府から「紙切れ(紙幣)を信じろ」と言われることと、「借金を返すから信じろ」と言われることは、同じようなことだと感じませんか? 前月号で記した通り、政府は自分自身でお金を発行しませんから、完全に同じというわけではありません。しかし、経済を仕切るという論点、すなわち、「政府を信じろ」という視点では同じことなのです。これは、国債と日本銀行券の信用母体がかなり近しいことを意味しています。そして、国債も経済に出回っているお金(紙幣)をサポートしている視点からすると、硬貨と同じように補助通貨と考えても良いかもしれません。ここで考えている補助通貨とは、日本の経済活動として生み出される財産(GDP)ではなく、単なる借金として埋め合わされたお金のことで、経済に貢献していないお金という意味です。
それでは、補助通貨がどれくらい増えると困ったことになるでしょう? 経済に貢献しないお金が全体のどれくらいを占めると困ったことになるか、皆さんも考えてみて下さい。
その6 国債と補助通貨
尹 煕元(ユン ヒウォン)
国債と日本銀行券
働かないお金の比率が……
現在、政府の借金総額がGDPの1.8倍であることは先に記しました。ここで、話を簡単にするために、政府が日本のすべての経済活動を行っていると仮定してみましょう(平成17年度のGDPにおける政府の貢献度合いは18%くらいです)。また、借金は経済活動に貢献しない(実際には貢献している部分がありますが)と仮定してみましょう。この仮定の元で、日本経済の1.8倍のお金を作り出すためには、市中に出回っているお金の何%が必要でしょう? この解を得るために、連続複利の計算式(自然基底eを計算するために使う式と同じもの)を使います。すると、この比率が57%と算出されます。難しい計算は気にしないで下さい。単に、全体の57%のお金を使って、お金をどんどん増殖させれば、なんとか全体の1.8倍まで増やすことができるということを鵜呑みにして下さい。この数字から、借金の比率が43%(=100157)になるまでは、辛うじてこれまでの借金を返しきることが可能になる、ということがわかります。ただし、この計算は経済活動によって、お金がお金を生み、それが、無限に続くという前提でのみ成立します。逆説的に言えば、全体の43%以上の借金をすると、数学的に返済が不可能になるのです(もし、借金の総額が稼ぎだすお金の1.8倍よりも大きくなると、この43%という数字はさらに低くなります)。
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