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いいかげん

 日本社会はとかく型を重んじるのに、仰木監督は野茂のトルネード投法、イチローの振り子打法を許した。このことを本誌の木村政雄編集長は高く評価して、〈まさに吉本的な『いい加減』精神〉と著書に書いている。
  鋭い指摘だ。いい加減の「加」は加える(プラス)、「減」は減じる(マイナス)だから、正にも負にも転じる。
  似た表現に「いい塩梅【あんばい】」がある。「塩梅」の難しさを伝えるこんなエピソードがある。徳川家康が春日局に聞いた。
「この世でもっともうまいものは?」
「塩でございます」
「ではもっともまずいものは?」
「塩でございます」
  塩加減一つで料理がうまくもまずくもなる。
  明石家さんまの明石家は、笑福亭松之助師匠の本名が「明石」だったからだ。いい加減と言えば言えるが、その塩加減がよかったから、さんまは美味に育ったのだろう。

(毎日新聞専門編集委員)

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