大手レコード会社とインディーズのレコード会社とでは、音楽との向き合い方、作り方ともに異なる。大手ではそれなりの結果が求められる、つまり売り上げが優先される。その点インディーズはハードルが低く、そのぶん自由度も高い。沖縄に拠点を移したことで、丸山さんの音楽との向き合い方にも大きな変化が訪れる。
「僕がソニーにいた時は、心の隅で、どのアーティストにも100万枚売ってほしいと思ってました。契約したアーティストは、すぐに売れなくても、3年後には100万枚売れる可能性のある人たちでした。100万枚というのはアーティストとメーカーの共通目標でもあるわけです。だから、売れる方を優先しました。
でも、今はそういう気持ちはありません。100万枚売れるものだけが素敵なわけではなく、そうでなくてもいい音楽はあるわけです。インディーズだと1万枚でいい。下手をすると10万枚売れることだってありますから。そうすると、おのずと契約したいアーティストの質も変わってくるわけです。だから首里フジコやピッピ隊音楽部のレコーディングに関して、本人たちにやりたい音がある場合は変えませんでした。『それじゃあ売れない』という言い方はしなかった」。
今の日本の音楽シーンでは放送局や企業とのタイアップが重視される。ラジオでオンエアするにもお金が必要になっている。いい作品を作ってもお金がなければ放送されないことも多い。丸山さんはそのことを、沖縄で仕事を始めて実感することになる。既存のメディアを使ったプロモーションには多額の費用が必要で、インディーズの会社にはリアルな話ではない。リスナーにいかにして作品を届けるか。そこで目をつけたのが、インターネットのダウンロードサイトだった。
247musicが新たに立ち上げたmF247は、音楽を「情報」として考え、その情報がより多くの人の耳に触れることを目指す。丸山さんは、そのことを「インターネットを活用したマスに向けた路上ライブ」だと話す。
「mF247は、インフラを作ってしまえば、自分の音楽の発表の場を求めているアーティストがほとんど無料で利用できるシステムです。ネット配信という小売・流通の部分だけでなく宣伝媒体としても利用してもらえると思います。これまでは音楽を市場に出すまでの競争がとても激しかった。でもネットに乗せれば、最小限の費用で、誰でも市場に出すことができるわけです」。
音楽のニーズが多岐にわたり、聴き方も多様化している。どんな媒体を利用して音楽を楽しむか、リスナーの選択肢を広げてくれるmF247の存在意義は大きい。こうしたサイトが、独自の音楽文化を育んできた沖縄から発信されているということも興味深い。
「沖縄にいてのんびりやっていて、知らないうちに流行っているという状況ができればと思いますね。東京に出て歯を食いしばって頑張るというのはあわないですよね」。
取材・文=野田隆司/撮影=牧田健太郎
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