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原田六次郎

(プロフィール)
1950年3月12日広島県生まれ。広島大学卒業後、1972年、新潟鐵工所に就職。大学時代に知り合った千秋さん(現専務取締役)と結婚。1974年に山陽製紙株式会社に就職し、1984年、代表取締役に就任。それまでの産業用資材でしかなかったクレープ紙を活用し、新しい商品開発をしていくSOD(山陽・オリジナル・ディベロップメント)を打ち出したり、ISOの取得、炭クレープ紙の開発など、それまでの製紙メーカーとはひと味ちがう経営方針を次々と実践している。 山陽製紙ホームページhttp://www.sanyo-paper.co.jp/

地球環境改善を推進する
炭再生紙プロジェクト
北海道洞爺湖サミットに採用された
梅炭クレープ紙の製造メーカー

 二〇〇八年七月七日から三日間にわたって行われた北海道洞爺湖サミット。世界経済、環境問題、アフリカの発展についてなど、地球規模で努力すべき課題が話し合われた。
 このサミットにおいて、特に環境についての配慮は徹底していて、展示やデモンストレーションはもちろんのこと、会議全体のエコ化、サミット運営においてもCO2排出ゼロを目指すなど、環境問題を話し合う場にふさわしい内容となっていた。
 その中で、環境に大いに配慮した点を評価され「梅炭エコ巾着袋」が、首脳会議場(ウィンザーホテル洞爺)で採用された。
 今回の「挑戦する人々」は、製紙メーカーだからこそできる「環境コラボレーション」を展開している山陽製紙株式会社代表取締役、原田六次郎氏に、お話を伺った。

「捨てられていた物」が
「捨てられない物」へと再生

 昨年一二月に創立五〇周年を迎えた山陽製紙株式会社。しかし、その歴史を創業時にまでさかのぼれば、昭和三年に広島市で原田六次郎氏の祖父、原田楽一氏が、株式会社原田大誠堂を設立したことに始まる。
 戦前戦後を生き抜き、逆境の中にあっても常に創意工夫を忘れず、クライアントの要望に応えるために大いに知恵をしぼり、努力を惜しまないという姿勢は創業当時から三代目の原田六次郎氏に至るまで一貫している。
 今回の北海道洞爺湖サミットに「梅炭エコ巾着袋」が、日本酒とのコラボレーションで採用されるに至ったのも、持ち前の創意工夫を惜しまない姿勢が実を結んだものと言えるだろう。

この「梅炭エコ巾着袋」は、巾着袋の内側が山陽製紙で独自に開発した「梅炭クレープ紙」でできているのがポイントだ。
ではその梅炭クレープ紙とはどういうものかというと、廃棄物である梅の種を備長炭の窯で炭化させ、古紙と炭と水で創った、一〇〇パーセント・リサイクル紙である。環境ホルモンの吸着、防カビ、調湿、消臭、食品の鮮度保持などの効果が実験データとして報告されている。

食品などの包装紙やパッケージに使えば、腐りにくく、鮮度保持に期待でき、タンスや押し入れの消臭剤としての使い方もできる。また、ホルムアルデヒドなどの化学物質を吸着させたり、調湿効果によって、建材として活用できる。
臭いや湿気の気になるものを入れておくのに最適なので、今回のサミットでも旅行カバンの中に、クツや下着などを入れて使っていただくことを提案した。
梅炭クレープ紙によって「捨てられていた物」が「捨てられない物」へと変わり、まさに「もったいない」の精神を現実化して見せた好例と言えるだろう。

サミット財務大臣会議から
北海道洞爺湖サミットへ

 今回の北海道洞爺湖サミットでの採用に至った経緯について原田社長に伺った。
「梅炭クレープ紙の大きな特徴である脱臭と鮮度保持という効果を生かし、さまざまな異業種と商品開発をしていきたいと思っていたところ、大阪を代表する酒蔵である浪花酒造さんから、お酒のパッケージに使えないかというお話をいただいたのがきっかけです」
さっそく開発したお酒の箱は、単にパッケージとしての役割だけでなく「ちぎってクツの中に入れておくと、クツのいやな臭いがしない」ということで、普通はお酒を飲んだ後は捨ててしまう箱が、脱臭や鮮度保持という用途で使われ、本来のお酒のおいしさと相乗効果で注目されるようになった。
その環境への実用性とユニークな発想が認められ、今年の六月一三・一四日に大阪国際会議場で行われた「二〇〇八年サミット財務大臣会議」に採用され、このことが、北海道洞爺湖サミットへとつながったのだ。

このおいしいお酒「浪花正宗」を製造している浪花酒造有限会社は、今から約二九〇年前、享保年間の創業。その歴史と伝統が今に生かされ、五年前に酒類の国際コンクール「第四一回モンド・セレクション」で初出品ながらも見事金賞に
輝いている。
今回、北海道洞爺湖サミットでふるまわれた酒は浪花正宗純米大吟醸「究極の技」。特等山田錦をなんと一九パーセントまで磨いて醸しただけあって、雑味のない透き通るような味わい。サミットで疲れた各国首脳関係者を大いに癒してくれたことだろう。
浪花酒造の社長(一〇代目当主)成子和弘氏にお聞きしたところ、一九パーセントまで磨いた米を使うのは、水分などの加減がひじょうに難しく、そうとうな技術が必要とのこと。まさに三〇〇年近く続いている歴史と技術の賜なのだ。

炭再生紙プロジェクトが
地球環境を守る

 「今回のサミットでの採用は、お酒だけでは難しかったでしょう。梅炭クレープ紙とのコラボレーションがあってのこと」と語る成子氏は、現在「炭再生紙プロジェクト」のメンバー。
炭再生紙プロジェクトとは、山陽製紙とコーディネーターなどが中心となり、健康や地球環境を守るロハス的な発想の元に商品開発などを進め、炭再生紙を様々な分野で活用し、地球環境改善に役立てるプロジェクトだ。
北海道洞爺湖サミットでは、山陽製紙と巾着袋を作った株式会社フォーラルと浪花酒造の三社のコラボレーションを実現させた。
今までに開発したものは、掃除機のノベルティーとして採用された「梅炭ボックス」、タオルのギフトセットに採用された「消臭シート」、視力アップや疲れ目に良いと、健康雑誌が炭クレープ紙で「アイマスク」を作り、付録に採用するなど多岐にわたっている。
今、炭再生紙プロジェクトでは「梅炭カーテン」や「消臭シート」をインテリアや建材として、もっと活用できないか提案中。また、足の臭いが気にならなくなる「こたつマット」も開発中で、早くも各方面から注目が集まっている。
この梅炭クレープ紙は、廃棄物の使用率、有害物質が使用されていない、などの認定基準をクリアして「大阪府リサイクル認定製品」として認められている。
つまり、リサイクルを通して循環資源の利用促進に役立つものと認められているので、安心してプロジェクトに参加できる。
また、梅炭クレープ紙の他にモルトフィードというビールを作るときに出るカスを炭化した、いわば「ビールの炭」を紙にすき込んだ「麦炭クレープ紙」も開発した。これをビールやウイスキーの製造会社とコラボレーションできれば、全国的な環境改善提案が実現できるだろう。
「あなたの会社が環境問題を考えるなら、ぜひ、あなたの会社の製品と、この炭クレープ紙を結びつけて考えてみてください。そこにはきっと、地球や人類のために役立つ糸口が見つかるはず」
と原田社長は語る。山陽製紙とコラボレーションすると、そのまま自然な流れで環境対策へとつながっていくのだ。
現在、炭再生紙プロジェクトは、多方面でコラボレーションできるパートナー企業を募集している。環境に関心はあっても何をしてよいかわからない企業には、うってつけのプロジェクトだろう。 この機会にぜひ、炭クレープ紙の活用を、あなたの会社でも検討してみてはいかがだろうか。

  きっとそこに、今まで見えていなかった道が開けてくることだろう。

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