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脳コンピュータの電源を切ろう!

 最近疲れやすくなったなぁ、とお嘆きの方へ。その疲れ、どこの疲れでしょう?
年のせいか疲れが取れにくくなったと感じることが多くなる。朝起きるのが辛くなったり、起きたときからだるい感じがする。寝ている間は体を使っていないのだから体の疲れであるはずがない。それでは心が疲れているのか? 気持ちがふさぎ込んでしまったり、気力が萎えてしまったら問題です。いや、そんなことはない。疲れてはいるが気力はあるし、仕事に充実感も持っている。体の疲れでも心の疲れでもないのであれば、答えは臓器としての脳の疲れです。

 えっ、臓器としての脳って心とどう違うかって? 実は全然違うんです。脳は早い話がコンピューターのようなもので神経細胞がお互いにシナプスというもので接合し、ここではセロトニンという物質が電気的刺激を伝達している。脳が疲れてくるとセロトニン濃度が足りなくなり、神経細胞がうまく機能しなくなる。その状態が暫く続くとうつ病、すなわち心の疲れになってしまう。脳が働きつづけているとセロトニンは枯渇してしまうので、それを防ぐには寝ているときぐらい脳のスイッチを切ること。朝起きたときにだるく感じるのは得てして睡眠時間が短いか、睡眠が浅く、結果的に脳が熟睡できていないときの自覚症状。すなわち脳コンピューターが入りっぱなし。

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この状態が続くと大抵二〜三ヶ月で心の疲れになってしまう。臓器の疲れは臓器を休ませることが重要なのに、脳に関してはなぜか無理をしてしまいがちです。
 お酒の飲みすぎで肝臓が疲れているときにはお酒を控えて、決して「こんなことでどうする。しっかりしろ」と更にお酒を飲むような事はしません。ところが脳の場合は、疲れているのに自分を鼓舞し、叱咤激励してしまいがちなのです。本当は夜、熟睡できればいいんだけど、日中のテンションが異常に高いと、夜になってもテンションが下げられず寝てもうつらうつら、日中の仕事の延長のような夢を見てしまう。
 ニューヨークもテンションの高い街ですが、昼休みになるとビルの前の階段でくつろいでサンドイッチを食べている光景を良く見かける。一方、東京でこういう光景をみることはまずない。そういう意味では世界で一番テンションの高い街といえる。昼休みは午前中に高まったテンションをいったん落とすのに絶好の機会で、ここでテンションを抜かないと夜まで引きずってしまいがち。朝起きたときに疲れを自覚するようになったら、眠りが浅く仕事の夢を見ていないか、日中どこでテンションを抜けているかチェックしてみて下さい。対処法は昼休みをできるだけゆっくり過ごすことと、安定剤を使ってでも熟睡を心がけること。
 週末に東京を離れる事もお勧めで、少し田舎に行くとテンションが違うのに気づくはず。脳の疲れは無理をすると逆効果です。心の疲れに進行しないように先手をうって下さい。

岩本耕太郎(いわもと・こうたろう)昭和34年生まれ。幼少期を3年間ボストンで過ごす。山形大学医学部を卒業、内科専門医として帝国クリニックを主宰する。マリンスポーツとモータースポーツを趣味とし、一方でNPO子ども発達支援協会などの理事を務める。著者に「患者さまが増える!」(H&I出版)がある。

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