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NOBU 松久信幸

世界の舌を魅了する日本人シェフ

西麻布の〝異界〟

 アメリカ人に誘われて、私も〈NOBU〉を訪れることになった。「何これ! ここ東京?」、空気が変わるとでも言えばよいだろうか。洗練されたインテリアときびきびとした従業員の身ごなし、半分近くが外国人の客たちが醸し出す雰囲気に、席に座るだけで、これは何か素敵なことが起こりそうだぞ、という期待感がフツフツとわいてくる。期待に違わず、料理の味はパーフェクト。運ばれてくるプレート1枚1枚に料理人の意気込みが込められており、盛り付けも絶妙な味わいも、文句なしだ。
 〈NOBU〉は東京の真ん中にある〝外国〟である。お客の舌と心を十二分に満足させてくれるNOBUこと松久信幸とはどんな人物なのか、どんなシェフなのか? 会ってみたいと思わずにはいられなかった。願えば叶うというのは本当で、今回、松久氏にインタビューする機会に恵まれた。

楽しい店は自ら交響曲を奏でる

――盛況ですね。
「レストランの価値は、お客さまが「トータルで楽しめる」かどうかで決まると思います。味だけではだめ。おいしいのは当たり前であって、サービス、清潔感、店の雰囲気、客層、すべてが揃っていないと、よいレストランとは言えません。それらが過不足なく整うと、店に〝勢い〟が生まれるのです」

――店に入った瞬間に、何か空気がガラリと変わった、というのが第一印象でした。
「人気のある店は隅々までエネルギーがみなぎっているものです。お客様は料理と一緒に店に充満しているエネルギーも召し上がっているのです」

――エネルギーをつくり出すのは難しそうですね、目に見えるものではないし。
「一番大切なのは、提供する側が楽しむことです。私や従業員は、お客さまの顔を見ながら仕事をします。お客さまが「おいしい」という表情をした時ほど嬉しいものはない。すると、「じゃあ、もっと喜んでもらおう」とアイディアも湧いてきて、さらにおいしい料理が生まれるのです。作り手がストレスや不平不満といったマイナスのエネルギーをため込んでいたら絶対にだめですね」

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