アメリカの文化人類学者マーガレット・ミードは文化の型を、若い世代がリードするプレ・フィギュラティブ、各世代が相互に影響を及ぼし合うコ・フィギュラティブ、年配世代がリードするポスト・フィギュラティブの三つに分けている。
この分類でいうと、戦前の日本はポスト・フィギュラティブ的であったが、戦後の日本は大衆文化、風俗、ファッションの各面において常にヤング世代をリーディング層として扱ってきた。つまり、プレ・フィギュラティブ型へと変化したわけである。新しい優れた文化は常に若者によって創り出されるという、やや妄想にも似た思い込みが一貫して存在した。その裏には、近代化・欧米化・生活合理化・都市化・成長発展信仰等の、成長ニッポンを特徴づけた諸項目があり、「新しいことは良いこと」という一元的な価値観があったわけである。
こうした価値観の一様化は、「とにかく生活のレベルを引き上げよう」という、暗黙の国民的総意によって支えられてきたが、今や状況は変ってきた。
賃金によって測られる生活水準は欧米のそれに近づき、資源的制約は我が国のみに、急テンポの経済成長を許さなくなっている。成長第一主義の臨戦態勢が解かれた後に出てくるのは、手段の中に目的を見失ったことへの、自省としての価値観の多様化や多元化である。
また、経済の成長が鈍化すれば、社会変化のテンポもスローダウンする。明治維新やその後の新政府の運営が、せいぜい30代までの人々によって果されたように、変化の激しい時には過去の経験に惑わされない若者たちの方が力を発揮する。
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世代を超えて事にあたる時代
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