「"出会い" のために、準備し、体力を整え、気力をもって事を運ぶ。"出会い" を本物にするには、それしかないのではないでしょうか」。
松岡さんは、読んだことはなくても、だれもが名前だけは知っている『ハリー・ポッター』(あるいは「ハリポタ」)の翻訳者である。
さて、この『ハリー・ポッター』シリーズ、いったいどのくらいの人が読んでいるのかというと、なんと百数十カ国で出版され、世界の累計部数は3億部だという! このうち日本での翻訳本は2000万部に迫る。
しかし、この本の驚きは部数の多さだけではない。携わる人々のプライベート・ライフ・ヒストリーもまた驚きなのである。作者自身、生活保護を受けるシングルマザーで、コーヒー一杯のお金しかなく、子供の眠っている間にコーヒーショップで書いていたという経緯は、あまりにも有名だが、翻訳者の松岡さんにもまた、〝出会い〝という見えざる力に導かれた不思議な裏話が隠されているのである。こうした、ベストセラーは、そうありはしない。
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1943年生まれ。国際基督教大学(ICU)卒業。世界的に活躍する同時通訳者でありながら、1997年、肺がんに倒れた夫の出版社「静山社」を引き継ぎ、手探りと熱意で出版業に打ち込む中で「ハリー・ポッター」全七巻シリーズと出会う。1999年、自分が納得できる翻訳にしたいと、社長自らが翻訳したシリーズ第一巻『ハリー・ポッターと賢者の石』を出版し、大ベストセラーとなる。以後、一、二年に一巻のペースで出版されてきた原作を、同じペースで翻訳出版してきた。いよいよこの5月には、第六巻『ハリー・ポッターと謎のプリンス』が出版される。シリーズ完成の日も近い。![[ファイブエル]バックナンバー](/img/side_backnumber.gif)