いまの世の中で、1ヵ月前に原稿を書くというのはそうとうタイムラグがある。世の中のスピードが速くなっていくのは、世の中がパソコンつながりになってきてからはもちろん当り前のことなのだけど、それにしても事件やニュースがどんどん古くなる。どんどん鮮度が失われていく。ナマモノの腐敗速度が速い。
世の中に酸素が過剰しているのか。最近の食品保存では冷凍や真空パックのほかに、袋の中にエージレスというものが入れてある場合が多い。腐るといういうのは燃えることでもあって、その燃える要素の一つの酸素を無くしてしまえば、とりあえずは燃えない、腐敗しない、ということらしい。
いま、世の中の情報のナマモノがどんどん腐るのが、逆に酸素過剰だとすると、世の中全体が有酸素運動に走りすぎて、エアロビクス状態にあるのではないか。
ひところ、レッグウォーマーをつけた婦人たちが両手両脚を動かしながら、
「アワン、アツー……」
といって踊る体操をするのがテレビによく登場していた。あれを最近見かけないのは、もはやああいうことをするまでもなく、世の中のパソコン・ケイタイ的生活自体が、あのようなことになっているからではないのだろうか。酸素がどんどん取り入れられて、心肺機能は活性化するけど、腐敗もどんどん進む。
いまこれを書いている時点でナマなのは、民主党永田議員の偽メール騒動。しばらく抵抗していたが。結局それが偽物だったと頭を下げてから、今日は3日目だ。これもいずれは古くなって腐るんだろうが、でもいまはまだ新鮮である。
永田議員は型通りに頭を下げたが、型通り以外のものは何も感じられなかった。
はじめ国会で偽メールのコピーを振りかざしてあれこれいっているのを見て、怪しい、とみんな思ったのではないか。メールなんてそもそもが怪しげな世界である。偽装工作なんていくらでもできる。証拠の参考にはなるかもしれないが、証拠そのものにはなりにくい。パソコンというのは情報の複製装置で、複製と偽造は紙一重で重なっているわけだがら、それをあれほど声高に証拠として問い詰められるはずがないと、みんなどこかで思っていたはずだ。だからあの国会で声高に問い詰める姿が、いかにもパソコン的な、複製的な、真実を演じている姿として映っていたのではないか。
運も実力のうちなのか?
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